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 広島銀行はふくおかフィナンシャルグループ(FG)との基幹系システム共同化の枠組みである「Flight21」から2030年度に離脱し、横浜銀行などが参画する「MEJAR」に乗り換える。Flight21は日本IBM、MEJARはNTTデータがそれぞれ支援しており、広島銀行はIBM陣営から抜け、NTTデータ陣営に新たに加わることになる。この動きは、地銀のシステム共同化にどんな変化をもたらすのか。

 「まさか」。2022年11月2日、広島銀行がFlight21から離脱し、MEJARに参画するという第一報を耳にした時の、記者の率直な感想だ。すぐにスマートフォンを手に取り、裏取りを進めたところ、複数の関係者が事実関係を認めた。記事執筆に着手したが、この時点でも「信じられない」という思いはまだ残っていた。それほど、広島銀行とMEJARの組み合わせは予期せぬものだったからだ。第一報から9日後の11月11日、広島銀行はMEJAR参画を正式に発表した。

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 現状、広島銀行はふくおかFG傘下の福岡銀行、十八親和銀行、熊本銀行とFlight21を形成し、基幹系システムを共同化している。2003年に福岡銀行と広島銀行が基幹系システムの共同運営を開始。開発費用180億円、開発工数1万3000人月を投じた一大プロジェクトだった。その後、2009年に熊本ファミリー銀行(現熊本銀行)、2010年に親和銀行(現十八親和銀行)、2021年に旧十八銀行(同)が共同化に加わり、今の体制になった。

 福岡銀行と広島銀行が基幹系システムの共同運営を始めて2023年でちょうど20年を迎えるが、それを目前に、広島銀行は離脱を決めた。行き先は横浜のほか、七十七、北陸、北海道、東日本の計5行が参加するMEJARだ。

 MEJARは現在、NTTデータの勘定系パッケージ「BeSTA」を富士通製メインフレーム上で稼働させているが、2024年1月に動作プラットフォームをオープンシステムに切り替える予定だ。そこからさらに一歩踏み込んで2030年度のクラウド適用を目指しており、このタイミングで広島銀行がMEJARに加わる形になる。

NTTデータと日本IBMのパワーバランスに変化

 記者は広島銀行のMEJAR参画が地銀のシステム共同化に2つの変化をもたらすと考えている。1つはITベンダーのパワーバランスの変化である。

 地銀向けの基幹系システム共同化事業を展開するITベンダーは現状、NTTデータと日本IBMが2強だ。NTTデータはMEJARのほか、西日本シティ銀行や京都銀行などが参加する「地銀共同センター」、第二地銀が多く加盟する「STELLA CUBE」と「BeSTAcloud」という主に4つの共同センターを手掛ける。

 一方、日本IBMもFlight21だけでなく、千葉銀行が中心の「TSUBASA基幹系システム」、三菱UFJ銀行のシステムをベースにした共同利用型システムを活用する「Chance地銀共同化システム」、八十二銀行や武蔵野銀行などが参画する「じゅうだん会」の4陣営を擁している。参加行の数だけでみるとNTTデータに軍配が上がるが、日本IBMは各地のトップ地銀を多く押さえており、数だけでは測れない存在感がある。「IBMは自らは前面に立たず、有力地銀を中心にシステム共同化を推進する術にたけている」(業界関係者)。