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 令和元年もあと1カ月で終わる。2018年に続いて、筆者が独断でクラウドに関する重大ニュースを3つ選び、19年を振り返りたい。果たして、あなたが注目したニュースはランクインしているだろうか。

 ちなみに筆者が18年11月に選んだ3大ニュースは、3位「Google BigQueryが東京リージョンに上陸」、2位「ダイソーがサーバーレスで業務システムを構築」、1位「Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) on VMwareが発表」の順だった。

パートナーの中抜きも辞さないAzure

 19年の第3位は「Microsoft Azureが顧客育成に注力」である。これまでマイクロソフトは、パートナーを中心にAzureを拡販してきた。それに加えて、パートナーの頭越しに顧客に直接、Azure活用を指南すると宣言した。マイクロソフトにとってもパートナーにとっても大きな転機といえる。

 日本マイクロソフトが19年8月に実施した「FY2020の経営方針」説明会では、「クラウド&AI人材の育成」を重点施策の1つに挙げた。新たに「Chief Learning Officer」を設け、マイクロソフト社内、パートナーに加えて顧客のデジタルスキルを向上させていく方針を示した。

 顧客支援の具体策の1つが、19年9月に発表した「FastTrack for Azure」だ。Microsoft Azureの利用顧客に向けた支援プログラムで、狙いは顧客のクラウド人材育成にある。マイクロソフトの沼本健クラウド+エンタープライズマーケティング コーポレートバイスプレジデントは「Azure活用のトレーニングやプランのレビュー、アーキテクチャーの検証といった作業についてAzureのエンジニアリングチームが直接、顧客を支援する」と内容を話す。

 ここにきて、なぜパートナーの中抜きも辞さず、顧客の直接支援を強めるのか。

 理由は2つ考えられる。1つは顧客自らにAzureの活用スキルを身につけさせ、パートナーがいなくてもAzureを使えるようにすること。「顧客にはAzureでやりたいプロジェクトが数多くある。しかし、スキルやキャパシティーの不足から、2個目、3個目のプロジェクトが立ち上げられない」(沼本バイスプレジデント)という課題に応える。

 もう1つ、顧客育成に注力する裏には「パートナーのAzureシフトが進んでこない」現状へのあせりが見える。マイクロソフトのパートナーはもともと、WindowsやOfficeに代表されるソフトの“箱売り”で実績を挙げてきた経緯がある。ところがAzureの成熟に合わせるように、パートナーにはAzure拡販の圧力がかかる。しかし箱売りで食べてきたパートナーが、いきなりAzureへシフトするのはそう簡単ではなく、両てんびんにならざるを得ない。

 その点、クラウドしか売り物がないAWS(Amazon Web Services)のパートナーは、しがらみなく拡販に力が入れられる。

 「パートナーのAzureシフトは思うように進んでいないのではないか」。数年前から日本マイクロソフトの幹部に幾度となく質問を投げかけてきたが、返ってくるのは「先頭グループと後方グループで開きが大きい」というコメントが大方だった。箱売りにしがみつくパートナーに業を煮やしたマイクロソフトが繰り出した逆転の一手、それがFastTrack for Azureとも取れる。20年1月に提供が始まったとき、どんなユーザー企業が手を上げるのか、興味は尽きない。