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 「日本のものづくりのコストは高い」との思い込みが続いていないだろうか。「海外企業から見積もりを取ると、やっぱり安い」という指摘はあるかもしれない。しかし日本企業の出す見積書と、海外企業のそれは基準が大きく異なる。

 日経ものづくりは2022年10月、ニュースメール配信「日経ものづくりNEWS」の読者を対象に、「円安による競争力への影響」をテーマとしたアンケートを実施し、225の回答を得た。そのアンケートの最後に入れたのが、次の問いだった。

■あなたの勤務先では、これまで取引のない海外企業から引き合いを受けて見積もりを出す際、条件(スペック)が不明確なところをどう扱いますか。(1つ選択)

  • 条件が不明確な項目があれば、できるだけ明確になるまで問い合わせる
  • 条件が不明確な項目があれば、高めのスペック(松)と仮定して見積もる
  • 条件が不明確な項目があれば、平均的スペック(竹)と仮定して見積もる
  • 条件が不明確な項目があれば、低めのスペック(梅)と仮定して見積もる
  • 上記以外 
  • 分からない
  • 無回答

 この質問のネタ元は、円高だった2015年の日経クロステック(当時日経テクノロジーオンライン)寄稿記事。この記事の筆者は、2001年まで東京・文京で経営した金型加工会社を自主廃業した後、2002年に米国に渡り、自動車部品サプライヤーの米NYX社で金型を含む生産設備関連の調達に携わる立場にあった。その寄稿記事の中で指摘していたのが、取引実績のない相手からの見積もり依頼に関して、日本の中小企業が共通して抱える問題点だった。

 これまで取引実績がある相手の場合は、仕様がはっきりしないところを実績から推定できるし、担当者が答えてくれそうかどうかも分かる。初めての相手ではそうはいかず、分からないところが残りがち。そこを「日本のサプライヤーのほとんどは、品質を上げる方向に仮定してしまう」(同記事)。

 しかし、「日本以外はほぼどこの国のサプライヤーも価格が下がる方向に仮定する。その仮定の違いを依頼者が詳しく見ることはまずないため、単に『日本は高い』という評価で終わってしまう」(同)。

 この指摘がどの程度本当なのか、数値化できる機会だと考えてアンケートに質問を入れた。結果は、まさに寄稿記事が指摘した通りといえるもの。残念ながら、競争上で不利になる選択肢ほど回答数が多かった()。

図 実績のない相手への見積もり
図 実績のない相手への見積もり
「あなたの勤務先では、これまで取引のない海外企業から引き合いを受けて見積もりを出す際、条件(スペック)が不明確なところをどう扱いますか。(1つ選択)」に対しての回答。(出所:日経クロステック)
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 回答の第1位は、46.2%とほぼ半数を占めた「条件が不明確な項目があれば、できるだけ明確になるまで問い合わせる」。これがなぜいけないのか、かつての寄稿記事の筆者に改めて聞いた。