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 建設現場に運ばれた生コンクリートの一部が使われずに廃棄されている。合計すると、東京ドーム2~4個分に相当するコンクリートが無駄になっている。

 東京地区生コンクリート協同組合(東京・中央)によると、協組の所属企業の生コン総出荷量に対して、余る割合は10年以上前から 3%前後で改善されていない。

 なぜ減らないのか。打設数量よりも余分に発注することが習慣化しているためとみられる。発注側の建設会社にとって、生コンの不足で打設を中断してコンクリート構造物の品質を低下させることは避けたい。

 中には、打設数量を高精度で算出するアプリケーションなどの開発を進める建設会社が出てきた。ただ、そういった動きはまだ一握り。余った生コンの最終的な処理は、暗黙の了解によって生コン会社がほぼ請け負っているため、多くの建設会社は余った生コンについて無関心だ。

 しかし、そうも言っていられない事件が起こった。2022年2月に、川崎市の小島建材店が関与した生コンの不正再利用問題だ。建設現場でアジテーター車から荷下ろしせずに返品された生コンを、新しく製造する生コンに混ぜて日本産業規格(JIS)製品として別の現場に出荷していた。

 廃棄するしかなかった生コンを再利用すれば、処理費用をかけずに利益を生み出せてしまう――。余った生コンを巡る問題を放っておくと、環境に負荷をかけるだけでなく、コンプライアンス(法令順守)違反にもつながる恐れがある。余りを減らす取り組みは、社会的にも必須の課題だ。

小島建材店の本社。同社は2022年1月7日から2月3日にかけて、戻りコンを不正に再利用していた(写真:日経クロステック)
小島建材店の本社。同社は2022年1月7日から2月3日にかけて、戻りコンを不正に再利用していた(写真:日経クロステック)
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