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 取材で訪れた茨城県つくば市の小中一貫校で、小学4年生の社会の授業を見学させてもらった。教室では生徒一人ひとりがノートパソコンと向き合い、プログラミング教育ソフト「スクラッチ」を活用して発表用の資料を各自作成していた。中には画面いっぱいのプログラムを組んでいる生徒もおり、「デジタルネーティブ」を目の当たりにし驚いた。

小学4年生がスクラッチで作成した発表資料。この教室では生徒一人ひとりが各自プログラミングを作成していた
小学4年生がスクラッチで作成した発表資料。この教室では生徒一人ひとりが各自プログラミングを作成していた
(撮影:日経クロステック)
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 記者は2020年春に新卒で入社した社会人1年目で、デジタル世代だと言われることがしばしばある。確かに大学ではノートパソコンを使って授業やテストを受けたり論文を書いたりしていた。一方小中学校ではパソコン室でタイピングをしたり、プレゼンソフト「パワーポイント」でアニメーションを扱ったりする授業が週に1回あった程度で、もちろんプログラミングはやっていない。

 筆者が小学生のころはパソコンといえばパソコン室に行って使うもので、どこか特別なもののように感じていた。今回教室で会った児童たちにとって、パソコンはもはや鉛筆やノートと同じように授業中に当たり前に使う文房具の1つだった。

 画面いっぱいのプログラムを組んだ生徒に話を聞いてみると「プログラミングは楽しい」と語ってくれた。

GIGAスクール構想に総額4610億円の予算

 取材は、文部科学省が掲げるGIGAスクール構想(Global and Innovation Gateway for Allの頭文字)の現状をまとめるというもの。同構想では、全国の小中学校において電子黒板やパソコンといったICTツールの活用促進を目指す。2020年度中にはほとんどの小中学校の児童・生徒が1人1台のデバイス(パソコンやタブレットなど)を所持する環境が整う予定だ。

 デバイス調達や校内ネットワークの整備、教員に対してICTの活用方法などを支援するGIGAスクールサポーターの配置など、2019年度補正予算と2020年度第1次補正予算を合わせて文科省所管で総額4610億円もの予算を組んだ。

 ただしICTを活用すること自体が目的ではない。技術革新が進んだ昨今はこれまで以上に世の中の変化のスピードが速まり、先が一層見通しづらい時代になってきた。

 こうした時代を生きていくためには、これまでのように先生の説明を聞いてノートを取り、テストでいい成績を取るだけの受け身の姿勢では不十分だ。自ら課題を見いだし解決につなげる主体的な学びの姿勢が必要だ。それは生徒自身が学びたいことを自ら学んだり、級友や教員に対するアウトプットによって理解を深めたりする能力にほかならない。ICTの活用はその能力獲得の土台となる。