全3077文字
PR

 「SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を組み合わせれば、大企業がやっているようなDX(デジタルトランスフォーメーション)に中小企業でも取り組める」。DXの動向に詳しいNRIデジタルの吉田純一ディレクターはこう述べる。

 DXというと大企業の事例が目立つせいか、中小企業は蚊帳の外のような印象を受ける。だが企業数でいえば国内企業数約360万社のうち実に99.7%は中小企業であり、全従業者約4680万人のうち約7割が中小企業の従業者だ(いずれも2016年の数字、出所は2020年版中小企業白書)。この国内「最大勢力」である中小企業がDXに取り組めばその成果はいかばかりか。必ずや経済にプラスの影響を与えるはずだ。

 何から手を付ければいいのか。DXに関して世間では人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)といった言葉が躍るが、そもそもそうしたことを扱うIT人材が自社にいない――。そう考えている中小企業は多いだろう。2020年版中小企業白書では、ソフトウエア投資に関して「足元で大企業は上昇傾向で推移している一方、中小企業は低下から横ばい傾向で推移しており、その差は広がっている」と指摘している。

 だが中小企業にとってデジタル化は取り組みやすくなっている。それを支えるのが多様なSaaSだ。法人向けのSaaSの比較・検索サイト「BOXIL SaaS」を手掛けるスマートキャンプの阿部慎平取締役COO(最高執行責任者)は、同社への資料請求の傾向から2019年と比べて「コラボレーションやバックオフィスのSaaSが伸びている」と説明する。コラボレーションでいえばコロナ禍で急伸したビデオ会議サービスやビジネスチャットツール、バックオフィスでいえば電子契約といった分野のサービスが挙げられる。

コラボレーションのSaaS(スマートキャンプがまとめたカオスマップ)
コラボレーションのSaaS(スマートキャンプがまとめたカオスマップ)
(出典:スマートキャンプ「SaaS業界レポート2020」)
[画像のクリックで拡大表示]
バックオフィスのSaaS(同)
バックオフィスのSaaS(同)
(出典:スマートキャンプ「SaaS業界レポート2020」)
[画像のクリックで拡大表示]

 そもそもDXとは、異論はあるかもしれないが、ITなどデジタル技術によって業務や働き方を今よりもいい方向に変化させることである。何も難しく考える必要はない。自社に適したSaaSを選んで、それを活用し、何らかの良い結果を得て新しい価値を生み出せればいい。特に最近は経費精算や勤怠管理といった分野だけでなく、前述のようにコラボレーションのためのSaaSを活用する中小企業が増えている。そんな事例を紹介したい。