小さく産んで大きく育てる――。
費用が膨れがちな公共事業に対して、昔から皮肉を込めて語られてきた言葉だ。事業の開始当初に見積もった事業費など当てにならず、途中でどんどん増大。最終的に何倍にも膨れ上がったケースは珍しくない。最近も相次いで、大型プロジェクトの事業費増大が報じられている。
例えば、北海道新幹線の札幌延伸事業。国土交通省は2022年12月7日、新函館北斗―札幌間の事業費が当初よりも4割増えて約2兆3150億円になると発表した。資材高騰の他、地中の岩塊でシールドトンネル工事が止まるなど工事の遅れが影響している。
北陸新幹線の敦賀延伸事業でも、20年に事業の遅れと費用増大が問題となった。20年12月に国交省が事業主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構に業務改善を命令。21年3月の事業再評価では、事業費が2658億円増えて1兆6779億円となった。
道路の大型プロジェクトも同様だ。大阪市は22年11月25日に開いた有識者会議で、淀川左岸線(2期)の事業費が従来の約5割増の2957億円になると明らかにした。
どの案件も、想定外の事態が生じて工事が難航したことなどを、事業費増大の理由に挙げている。