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 携帯電話のエリア展開に適していることから「プラチナバンド」と呼ばれる700M~900MHz帯の電波。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社に割り当てたプラチナバンドを一部減らし、楽天モバイルに割り当てられないか総務省が検討している――。今、こんな話題が業界を駆け巡っている。総務省が新たに開始した有識者会議でもプラチナバンド再編が論点として浮上している。携帯電話市場の改革にこだわる菅義偉政権が放つ新たな矢に、携帯大手は戦々恐々としている。

エリア展開に不可欠な生命線「プラチナバンド」

 「事業者間の公正競争という視点からは、有限な国民の財産である電波を持つ者と持たざる者との公平性を確保すべく割り当て済み周波数の利用状況の詳細な検証を行い、周波数の縮減・共用・移行・再編・取り消しなどを機動的に行うことが望まれる。とりわけ、プラチナバンド(700M~900MHz帯)についての検証は急務」――。総務省が2020年11月末に開始した有識者会議「デジタル変革時代の電波政策懇談会」にて、有識者として参加する野村総合研究所の北俊一パートナーはこのような意見をぶち上げた。

プラチナバンドの電波利用状況。携帯電話のほかITS、ラジオマイクなどが利用している
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プラチナバンドの電波利用状況。携帯電話のほかITS、ラジオマイクなどが利用している
(出所:総務省)

 携帯電話事業者にとって、電波は事業展開に欠かせない生命線だ。中でもプラチナバンドと呼ばれる700M〜900MHz帯は、建物の奥などに回り込みやすく、携帯電話のエリアを充実させるために不可欠の電波だ。現在このプラチナバンドは、NTTドコモとKDDI、ソフトバンクにそれぞれ合計50MHz幅が平等に割り当てられている。

 だが新規参入事業者である楽天モバイルにプラチナバンドは割り当てられていない。700M~900MHz帯の割当時に、楽天モバイルは事業に参入していなかったからだ。公平性という観点で、後発の事業者が不利になる状況を見直すべきだという意見は一理ある。また携帯大手にとって虎の子といえるプラチナバンドの縮減や取り上げをちらつかせることは、競争促進に向けてもこれ以上ない手段となる。新たに始まった有識者会議では、このプラチナバンド再編が主要論点となる見込みだ。

 総務省もプラチナバンド再編に向けて準備している様子が聞こえてくる。関係者によると総務省は、携帯大手に割り当てたプラチナバンドの帯域を減らした場合、ネットワークに問題が生じないか、水面下でヒアリングを続けているという。