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 インターネットや企業のデータセンターを流れるトラフィックの増加はとどまることを知らない。モバイル機器による通信量の増加が目覚ましく、毎年1.5~2倍の勢いで伸びている。5G(第5世代移動通信システム)の普及が進めば、その勢いはさらに加速するとみられる。米Cisco Systems(シスコシステムズ)の予測によると、2022年には世界のIPトラフィック量がインターネットの誕生から2016年までの総量を上回り、年間4.8ゼタ(ゼタは10の21乗)バイトに達するという。

 こうした中で、大量のトラフィックが集中するデータセンターやインターネット接続事業者(ISP)のバックボーンネットワークなどにおいて普及期を迎えているのが、400ギガビットイーサネット(GbE)だ。伝送速度は、それまで最速だった100GbEの4倍の400Gビット/秒に達する。

イーサネット技術の仕様策定の状況
イーサネット技術の仕様策定の状況
(出所:Ethernet Alliance)
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インターネットのバックボーンも400GbEへ

 2017年12月に最初の標準規格である「IEEE 802.3bs」の策定が完了して以降、シスコや米Juniper Networks(ジュニパーネットワークス)、米Arista Networks(アリスタネットワークス)といったネットワーク機器各社が、続々と400GbE対応のネットワークスイッチ製品を発売した。当初はコストの理由から大手のクラウド事業者やコンテンツ事業者のデータセンターでの利用に限られていた。しかし最近では、400GbEインターフェース1本当たりのコストが100GbEを4本束ねるより安くなっていることもあって、ISPや学術情報ネットワークのバックボーンネットワークにも利用されるようになった。

 400GbEの利用は、さらにインターネットのバックボーンにも広がろうとしている。ISP間を接続するIX(インターネットエクスチェンジ)サービスを手掛けるインターネットマルチフィードは2022年8月、首都圏エリアのIXサービスである「JPNAP東京」において400GbEポートの提供を開始した。当初の接続拠点は「ブロードバンドタワー新大手町サイト」のみだが順次拡大するという。