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 2021年10月末、ポートメッセなごや(名古屋市)で開催された自動車の技術展「オートモーティブワールド(同年10月27~29日)」に足を運んだ。緊急事態宣言の解除から約1カ月、会場はあふれんばかりの来場者でにぎわいを見せていた(図1)。

図1 オートモーティブワールドの様子
図1 オートモーティブワールドの様子
展示会の事務局によると、3日間の来場者数は2万1076人だった。(写真:RX JAPAN)
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 記者が訪れた2日目、大盛況の展示会に劣らず注目を集めた講演がある。タイトルは「カーボンニュートラル実現へ向けたEV開発」。同講演は2部構成で、第1部にはトヨタ自動車ZEVファクトリー副本部長の豊島浩二氏が、第2部には日本電産常務執行役員最高業績管理責任者の泉田金太郎氏が登壇した。

 トヨタのお膝元である愛知県での展示会だからだろうか、会場はあっという間に満席となった。記者の概算で恐縮だが、500人程度の来場者が聴いていたとみられる。

 第1部で講演した豊島氏は、「カーボンニュートラル(炭素中立)へ向けた選択肢は電気自動車(EV)だけではない」と強調した(図2)。とりわけ、ユーザー目線では「EVの最大の懸念事項は価格の高さにある」(同氏)と指摘。このほか、日本の電源構成における火力発電の割合の高さや、電池を含むEVの素材の製造時における二酸化炭素(CO2)排出量などを現状の問題点として挙げる。

図2 トヨタZEVファクトリー副本部長の豊島浩二氏
図2 トヨタZEVファクトリー副本部長の豊島浩二氏
同社が22年半ばに発売を予定する新型EV「bZ4X」の開発を統括する。「トヨタが考えるカーボンニュートラル」と題して講演した。(撮影:日経Automotive)
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 お分かりの通り、講演の内容自体はトヨタ社長の豊田章男氏がこれまで何度も発信してきたことと重なる。記者が驚いたのは、講演資料のほとんどの漢字に振り仮名が振られていたことだ。豊島氏はこれについて、「ぜひ資料を持ち帰って、お子さんやご家族に同じ話をしていただきたい」と説明した。炭素中立に対する同社の考え方を、自動車業界にとどまらず幅広い世代に浸透させようという意図がうかがえる。