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 一般にはまだ浸透していないが、ヘルスケアの業界内ではじわりと広がっている「デジタル治療(デジタルセラピューティクス:DTx)」という新しい言葉。個人的に2020年はDTxの概念が広く浸透し、DTx分野の話題が増えると見ている。

 DTxはデジタル技術を用いて疾病の予防や診断、治療などの医療行為を支援したり実施したりするソフトウエアのこと。治療のエビデンスがあり、規制当局による承認を得るものとしている。いわゆる治療用アプリもDTxに含まれる。日本で開発が先行するDTxは、ベンチャーのCureApp(キュア・アップ)が開発するニコチン依存症患者向けのものだ。同社は2020年の実用化を目指している。

CureAppが開発するDTxのイメージ図
CureAppが開発するDTxのイメージ図
患者が自分の気分や服薬状況、呼気中の一酸化炭素(CO)の濃度などをアプリに入力すると、個別化された治療ガイダンスがアプリに配信される。例えば患者が「たばこを吸いたくなった」とアプリに入力すると、アプリを通じて「ガムを噛(か)みましょう」「部屋の掃除をしましょう」などと具体的な行動が提案される。禁煙外来で標準的な治療を受けながら治療用アプリを利用した場合、治療開始後9週目から24週目まで禁煙を継続している患者の割合は63.9%で、治療用アプリを利用しない場合は50.5%だった。「統計学的有意に高く、ニコチン依存症の治療⽤アプリが禁煙の継続に寄与したことが⽰された」(CureApp)としている。(出所:CureApp)
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 なぜDTxが浸透してきたのか――。1つはDTxの概念が米国で確立しつつあるからだろう。米国にはDTxを開発する企業など約30社で構成される業界団体「Digital Therapeutics Alliance」がある。その団体が2019年11月に、複数のヘルスケアの業界団体と共同で、DTxの定義や位置付けを発表した。デジタルヘルスは最も大きな概念で、生活や健康の質向上の目的で利用される技術やシステムを指す。DTxはデジタルヘルスの中に含まれる分野だ。

 ただデジタルヘルスとDTxには大きな違いがある。デジタルヘルスは医療的な効果のエビデンスが求められない一方で、DTxと名乗るには医療的な効果のエビデンスが欠かせない。DTxを開発する企業はエビデンスを基に規制当局から認証を受けたり、承認されたりする必要がある。

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