専門記者ならではの視点で製品やサービス、業界の動向に切り込みます。

記者の眼
目次
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写真が「一期一会」ではなくなる日、Google I/Oで感じた興奮と寂しさ
米Google(グーグル)が2023年5月10日(米国時間)に開催した年次イベント「Google I/O 2023」の基調講演で、Sundar Pichai(スンダー・ピチャイ)CEO(最高経営責任者)が1枚の写真を「生成」してみせた。
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冷媒どうする?欧州のPFAS規制案で問われるEV熱マネの技術力
2023年2月に欧州化学物質庁(ECHA)が公表した新たな化学物質規制案が、EVの熱マネジメント界に波紋を呼んでいる。現在の冷媒の主成分でもある有機フッ素化合物(PFAS)の欧州での製造や使用(輸入)が制限されるかもしれないからだ。
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過去を生かせなかったマイナンバーカードの混乱、次なる失策を防げるか
マイナンバーカードを活用した行政サービスで、システム上のトラブルが相次いでいる。コンビニで他人の証明書が誤交付される、マイナ保険証や公金受取口座で他人の情報がひも付けされるなど、混乱は4つのサービスに及ぶ。原因はそれぞれ異なるが、いずれも個人情報が他人に見えてしまう深刻な不具合だ。
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反発やまぬ欧州新規制「ユーロ7」、問われる排ガス測定の提案力
欧州委員会(EC)が2022年11月に提案した自動車の新たな環境規制「Euro 7(ユーロ7)」に対して、いまだ反発がやまない。ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)や欧州Stellantis(ステランティス)といった欧州の自動車メーカーが相次いで批判の声をあげている。
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住宅設計の4号特例縮小への対応が加速、23年秋のZEH壁量等基準公布までに準備を!
日経アーキテクチュアが2023年3月に発行した書籍『設計実務に使える 木造住宅の許容応力度計算』(著者:大橋好光、柳澤泰男)が予想外の反響を呼んでいる。1カ月足らずで増刷となった。許容応力度計算(建築物の構造計算方法の1つ)という専門的なテーマ設定の書籍としては、異例の人気ぶりである。
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「自由」を手放した20代エンジニア、フリーランス保護新法は悪習を打破できるか
2023年4月28日、フリーランス・事業者間取引適正化等法が参院本会議で可決、成立した。新法は業務を委託する企業に報酬や納期、仕事の範囲などの取引条件を書面やメールで示すように義務付ける。フリーランスエンジニアの働き方をどう変えるのか。
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技能実習制度の『日経ものづくり』調査、失敗した「理想」と「現実」の扱い
メール配信サービス『日経ものづくりNEWS』(主として製造業)の読者を対象に、中間報告書の方針について意見を聞く調査を企画した。同制度に関しては「理想」と「現実」のギャップが存在する、との回答は74.8%に達しており、実態は広く認識されている。ところが、どうしていくべきかについては、意見はさまざま…
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新卒2年目記者もびっくり、「フルコロナ世代」に刺さるタイパ重視の採用活動
2022年卒の記者が、毎年日経コンピュータが「楽天みん就」と共同で行っている「就職ランキング特集」で2024年卒の採用の実態に迫った。自身の就職活動から2年、採用の変化を自身の経験を交えて語る。
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半導体不況下で69%成長のなぜ、戦略変更が奏功のソシオネクスト
2023年第1四半期(1~3月:以下23年Q1)の半導体市場は、前年同四半期に比べて21%も縮小した。例えば、米Intel(インテル)と韓国Samsung Electronics(サムスン電子)の半導体部門の23年Q1売上高は、それぞれ前年同期比36%と49%も減少している。そのようななかで、国内…
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浸水5m想定した江戸川区新庁舎の設計案をひもとく、水害対策への振り切り方
東京都江戸川区が策定した「新庁舎基本設計方針(案)」を紹介したい。設計方針には「日本一の防災庁舎」を掲げた。今年もまもなく梅雨の季節。水害に焦点を絞って基本設計方針(案)をひもとく。
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20~30代はセキュリティー意識が甘い?デジタルツールへの慣れに潜む落とし穴
「デジタルネーティブの若手社員ほど、サイバーセキュリティー意識が低い」――。Webサイトへのサイバー攻撃を防ぐシステムなどを提供するサイバーセキュリティクラウドの西澤将人経営企画部部長は警鐘を鳴らす。まさに「デジタルネーティブの若手社員」である記者は、この言葉にどきっとした。
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イメージセンサーの革新は止まらず、ソニー系の新構造に注目
スマートフォンのセールスポイントがカメラ機能になって久しい。なかでもAI(人工知能)技術を活用した画像処理、すなわちソフトウエアで機能を高めることがトレンドである。だが、イメージセンサー自体の革新も引き続き進んでいる。そうした革新の1つが、「2層トランジスタ画素積層型」と呼ばれる新しい構造を採用し…
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Z会がシステム開発裁判勝訴も、日立子会社から「11億円しか」賠償されないワケ
新基幹システムの開発頓挫を受け、Z会が2017年11月に委託先の日立ソリューションズ(HISOL)を訴えた裁判。裁判所はHISOLに11億円を支払うよう命じたが、Z会にとって「100%の勝利」とは言えないものであった。Z会が当初請求していたのは27億円で、この半分にも満たない金額だからだ。
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AIの力が健康寿命を延ばす、最新補聴器に感じた技術進化の望ましい姿
人工知能(AI)がさまざまな機器の制御に組み込まれる時代となった。補聴器もその1つだ。AIによる音声処理によって、常に快適な音を違和感なく聞けるようになる。この「違和感なく」がとても重要だと思う。難聴に悩んでいた父が晩年、補聴器に何度か挑戦したものの、結局、装着し続けられなかった記憶かあるからだ。
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キャベツ食い荒らすガをレーザーで撃墜、急所を狙い1発で仕留める
国連が2022年7月に発表した「世界人口推計(World Population Prospects:WPP)2022」によれば、2050年の世界人口は約97億人(中間値)と、2021年よりも約18億人増加する見通しだ。国連食糧農業機関(FAO)の推定によると、この増加と富裕化を続ける人口を養うため…
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米国で生活して実感した「英語学習」のオワコン化
「英語ができるようになりたい」。1回でもこう考えたことがある人は多いはずだ。一方でAI(人工知能)による翻訳技術の発達により、従来型の英語教育は「オワコン化」していきている。英語が全くできない状態で米国の現地小学校に入学した子どもの経験から、これからの英語学習に求められるスキルを探る。
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マツダ「CX-60」のJNCAP試験、最高点でも四つ星評価の理由
「最高点を獲得しているのに、なぜ総合評価が低いのか」──。日本の自動車アセスメントプログラム「JNCAP」の安全性能評価(2022年度)における、マツダの中型SUV(多目的スポーツ車)「CX-60」の結果を見たときの素朴な疑問です。
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ChatGPTの大波で考えた、新技術につきまとう「不確実性」との向き合い方
米OpenAI(オープンAI)の対話型AI(人工知能)「ChatGPT」の誕生を皮切りに、日々進化が進む大規模言語モデル(LLM)。新しい技術の浸透と事業化を見て、不確実性の高い技術進化と事業化について考えた。
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4兆円超の経済効果を生むTSMC熊本工場、その巨大さを現地で体感
熊本空港から車で15分ほど離れた熊本県菊陽町で現在大規模な工事が実施されている。世界最大の半導体受託製造企業、台湾積体電路製造(TSMC)が過半を出資した「JASM」の工場建設だ。TSMCの熊本進出による県内への経済波及効果は、10年でおよそ4兆2900億円に達する見込みだ。熊本を訪れたので、建設…
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AGVやAMRの導入で問われる「現場の生産体制」
運転手なしでも、部品・製品などの積載物を所定の場所まで自動で搬送してくれるAGV(自動搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)。こうしたAGVなどが、通行を知らせる軽快なアラート音を鳴らしながら工場や倉庫内で動き回る姿を見かけるのが珍しくなくなった。