
記者の眼
目次
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経営危機でもイノベーション投資は止めない、ANAの信念とJALの教訓
「ブーン」。2020年7月のある週末、北の大地から1台のドローンが上空へ、勇ましいモーター音とともに舞い上がった。ANAグループの持ち株会社であるANAホールディングスと旭川医科大学、調剤薬局運営のアインホールディングスなどが北海道旭川市内で、ドローンによる処方薬輸送の実証実験を実施したのだ。
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ネジやバネが要らなくなったら、機械設計はどう変わる
もし、ネジやバネ、ヒンジといった要素部品を使わなくて済むとしたら――。機械設計の世界は大きく変わるに違いない。
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テレワークで「複業」に現実味、気になる個人と企業の温度差
自宅でのテレワーク作業が板についてきた。通勤がない分、早くから仕事を開始できる。集中できるので効率がいい。こうなると「捻出できた時間を使ってもっと働ける」と思う人が増えてもおかしくない。
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トヨタの「Mobility For All」を、中欧の小国で実践中
自動車メーカーからモビリティーカンパニーへ進化中のトヨタ自動車。それを実現するために複数の活動を行っている。その1つが、健常者だけでなく障がい者も自由に移動できる社会を実現すること。キャッチコピーは「Mobility For All(すべての人に移動の自由を)」である。例えば、足に障がいがあり、車…
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「保険」は水害対策の強力メニューになるか
2018年の西日本豪雨、19年の東日本台風(台風19号)に続いて日本列島を襲った「令和2年7月豪雨」。筆者はいみじくも、3年連続で水災害(大雨による水害や土砂災害)に関する特集記事を担当することになった。
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ばらまき型メールから日本を守る、知られざる善意の50人
サイバー被害を減らしたい――。この思いの下、無償で日本のサイバーセキュリティーに貢献しているセキュリティー技術者50人ほどの集まりがあることはまだあまり知られていない。「ばらまきメール回収の会」である。
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「会社、実在してたんだ」 コロナ世代新入社員の本音
「久保田君、本当に実在してたんだ」。初出社の日、K編集長からの第一声だった。2020年6月、日経BPに新卒入社してから2カ月がたっていた。コロナ世代の新入社員として一番の悩みは普段の交流ができないこと。薄れがちになる「組織に所属しているという実感」は、出社することでしか得ることができないのだろうか…
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コロナ禍でのテレワークトラブル、苦境の管理者救う「第3の手段」
小さい企業は専任のネットワーク管理者がおらず、他の業務と兼任していることが多い。こうしたネットワーク管理者はネットワークトラブルが起こるたび、会社に行く必要に悩まされる。こうした問題を手軽に解決できる方法がある。それはネットワーク機器を管理する「第3の手段」だ。
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レベル4のカギ握るLIDAR、低価格と長距離検知をいかに両立するか
自動運転レベル4の実用化に向けて、期待されているのが低価格で長距離検知が可能なレーザースキャナー(LIDAR)だ。量産車としては、レベル3への対応を視野に入れていたドイツAudi(アウディ)のセダン「A8」が初めて搭載。トヨタ自動車も2020年7月7日に高度運転支援技術「Lexus Teammat…
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CFRPで造れる新3Dプリンター、AGC研究所でお披露目のなぜ?
実は先日、このロードバイクSuperstrataの現物を見る機会があった。といってもプロトタイプで製品版ではない。さらに言うと、記者のお目当てはこのロードバイクではなく、それを製造する米国のスタートアップAREVOの3Dプリンター「AQUA」である。7月10日、横浜市にあるAGC(2018年7月に…
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早くも出現、「格安5G」を試して分かった困ること
携帯大手3社が2020年3月下旬に満を持して始めた5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスより安く5Gを使える手段が、早くも出てきている。MVNO(仮想移動体通信事業者)による5Gのサービスが始まり、安価な5Gスマホが発売されたのだ。さっそく使ってみた。
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現実を「拡張」から「編集」へ、「引き算」でARを再定義
現実世界は、様々な情報にあふれている。情報をさらに増やして利便性を高めるのがAR技術だ。今、このARが単なる現実の「拡張」から、現実を適切に「編集」する技術へと脱皮しつつある。今後必要になるのは、いかに情報を減らして受け取るか、つまり、現実への「足し算」に加えて「引き算」をする技術である。
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豪雨被災地で右往左往して考えた
2020年7月7日と8日、豪雨によって球磨川が氾濫した熊本県人吉市とその近辺の被災地を取材した。道路のどの区間が通行可能かを把握することが、取材活動に大きく影響した。
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渦中の楽天モバイル「Rakuten Mini」、本体交換手続きに覚えた違和感
2020年5月末に楽天モバイルの人気スマホ「Rakuten Mini」を購入した直後、同社が端末の対応周波数を無断で変更していた事実が判明。サポート窓口を通じて端末の本体交換手続きを進めるうちに気になる点がいくつも生じた。一部始終を報告する。
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天才プログラマー登氏を迎え入れたNTT東日本、化学反応の予感
NTT東日本とIPA(情報処理推進機構)が2020年4月に無償公開した在宅勤務に利用できる「シン・テレワークシステム」の記事のために、同システムを開発した登大遊氏への取材に同席した。登氏は大学在学中にVPN(仮想私設網)「SoftEther」を開発した、業界の有名人だ。
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「ローコード開発」普及は時間の問題、SIerはもっと喜んでいい
ソースコードを極力書かない「ローコード」と呼ばれる開発の方法に大きな注目が集まっている。もともと専業ベンダーが中心のニッチな市場だったが、ここに来て地殻変動が起きている。大手クラウドベンダーがPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)の1ジャンルとして力を入れ始めているからだ。
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日産が柿の種?!謎プロジェクトの裏テーマは「技術の伝承」
日産自動車は、クルマの形をした柿の種「新型カキノタネ」を企画・製作したと発表した。一見すると意味不明だが、どのような狙いがあるのか。取材を進めると、製造業が抱える「技術・技能の伝承」という大きな問題に正面から向き合ったプロジェクトであることが分かった。
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テレワークで激減した「雑談」、放置すれば改善アイデアが生まれない
テレワークの推進は歓迎すべきだと思うが、懸念がある。それはテレワークによって雑談が減ることだ。マネジャーやリーダーたちは異口同音に「テレワークでは何も手を打たないと雑談が生まれない」と訴えた。
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3Dをあえて消す日立のAR、製造業DXで増えた「名人伝」の極意
内心「こんな解決の方法があったか」と思った。日立製作所の鉄道ビジネスユニット笠戸事業所(山口県下松市)がボルトの締結トルク管理に導入したAR(拡張現実)システムでは、作業者が見る画面で3Dコンピューターグラフィックス(CG)をほとんど使っていない。重要な役割を果たすのは、なんと「音」だった(関連記…
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接触確認アプリは前途多難、「先進国」中国に学べることはないか
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、日本政府は2020年6月19日、人と人の接触状況を追跡・確認できるアプリ「COCOA」の提供を始めた。インストールしたが役立つイメージがわかない。そんなときに中国の取り組みを知る機会があった。