
記者の眼
目次
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ツイッターダニとライチョウ保全に見た希望、SNSは市民科学の可能性を広げるか
「ツイッターダニ」と呼ばれるダニが日本にいることを最近知った。Twitterに投稿された写真がきっかけとなって発見されたためにこう呼ばれているそうだ。使い方さえ間違えなければ、SNSは生物多様性の理解や保全のための強力な武器になるかもしれない。
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この3年で185万台が消滅、自動車の国内生産が危機的水準に
約185万台もの国内生産が消滅──。2018年を基準に2021年までのわずか3年間で、日本の自動車メーカー8社の国内生産台数が2割も減っていることが分かった。海外市場の成長と国内市場の低迷という従来の影響に、新型コロナウイルス禍や部品不足などの不測の事態が加わった。
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「古い順」だけの管路更新では手遅れに、破損リスクの見極め技術に期待
老朽化した水道管が破損する事故が後を絶たない。普段目に見えない地中で何が起こっているのかご存じだろうか。厚生労働省によると、2019年度に全国の水道管の総延長約73万kmのうち40年の法定耐用年数を超えた管路の割合は19.1%となった。水道管を大量に敷設した高度経済成長期から半世紀以上がたち、耐用…
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「世界一」を支える日ごろの備え
2022年3月に発生した福島県沖地震で路面に長さ約50mもの亀裂が生じたにもかかわらず、地震発生のわずか約16時間後に通行止めを解除した東北自動車道。道路の補修を指揮した東日本高速道路会社東北支社の取り組みを深掘りすると、迅速な復旧の裏に、日ごろからの無数の備えが浮かび上がってきた。
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人的資本経営にデータ活用は不可欠、経産省「人材版伊藤レポート2.0」の中身
「人的資本」という言葉を最近耳にすることが多い。そのきっかけとなったのは経済産業省が2020年9月に公表した報告書「人材版伊藤レポート」だ。2022年5月、経産省は「人材版伊藤レポート2.0」を公表した。特に強調するのはデータの活用である。打ち手の1つとして、人事情報基盤の整備を挙げた。
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.NET MAUIは「Write Once,Run Anywhere」の夢を見るか
「1つのコードで複数のOSやプラットフォームに対応したアプリケーションを開発できる」――。この言葉に引きつけられる開発者は多いのだろう。その1つが「.NET MAUI(Multi-platform App UI)」だ。とはいえこの種の技術は意外とうまくいっていない。
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新法で増える需要のない再プラ、消費者の巻き込みがリサイクルの鍵に
ここのところ再生プラスチックやバイオプラスチックの取材をしていて、プラスチック資源循環の輪に亀裂を感じざるを得ない。2022年4月1日に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行され、廃プラスチックの回収量の増加が予想されるも、再生プラスチックの需要増加が見込めなからだ。
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「世界最大」10階建て高層木造の実大振動台実験に期待、“空白地”は埋まるか
全米科学財団の助成を受けて、米コロラド鉱山大学が中心になって計画している「NHERI TallWood Project」。高さ約34m、10階建ての木造ビルを実際に使用する世界最大の振動台実験だ。日本国内で耐震構造の高層木造建築を実現する第一歩と期待されている。
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Googleの地味な新サービス、開発生産性とセキュリティー両立の切り札になるか
米Google(グーグル)が、安全性を検証したOSSを公開するサービス「Assured Open Source Software」のプレビュー版を2022年7月にも開始する。一見では地味なサービスだが、開発生産性とセキュリティーを両立したいユーザー企業の切り札になれる潜在力があると筆者は感じた。
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「DX共創」の勘所、なぜトライアルはサントリーや花王を毎月福岡に呼べるのか
博多駅からバスでひと山越えて1時間強。都市圏の交通網に慣れた人にとっては便利とは言えない場所に、サントリーや花王など名だたる有力ブランドのDX担当者が月に1度集まる場所がある。大手ディスカウントストア、トライアルカンパニーの「musubu AI」だ。
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「量子」という魔法の言葉への違和感
「量子コンピューティングのマシンを新開発したので取材にきてほしい」。記者に、ある電子機器メーカーからこんな声がかかった。話を聞けば、本物の量子コンピューターを開発したのではなく、デジタル回路で構成された「イジングマシン」をつくったとのこと。
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ICT施工普及の影で「無防備な」測量データに懸念
国土交通省は近年、建設現場へのICT(情報通信技術)導入に力を注ぐ。ICT施工で得られる3次元測量データは、無人偵察機の飛行ルート策定やミサイル攻撃の目標選定といった“軍事手段”に転用されるリスクがあることはご存じだろうか。
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Oracleからバトンを受けたAWS、デファクト誕生の瞬間
一般にデファクトは市場における「事実上の標準」を指す。これまでの取材活動のなかで「ああ、デファクトになったな」と感じた瞬間が一度だけある。1990年代後半の企業向けデータベース製品市場でのことだ。
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自動車メーカーはモーター技術者と相思相愛になれるか
気になる話を聞いた。現在、自動車メーカー各社は電動化に向けてモーター技術者をかき集めている。ところが、そのモーター技術者が少しずつ流出しているという。転職先は、日本電産などのモーターメーカーが多いようだ。
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情シスから独立して起業、そんなキャリアが「普通」になる日
「ドキドキを感じつつ、IT部門にいたらできなかった経験を積んでいる。後から振り返って、きっと楽しかったと思えるはず」。zoobaの名和彩音代表は、きっぱりと話す。
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岡山県真庭市で感じたEVの可能性
「電源構成における再生可能エネルギー(再エネ)の比率が低い日本では、電気自動車(EV)が増えても二酸化炭素の削減にはつながらない」――。自動車業界で取材をしていると、こうした主張をよく耳にする。
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宝塚ファンの記者も快適性アップを実感、東京宝塚劇場の座席改修に迫る
観劇が好きな人にとって、劇場の座席は関心事の1つだ。自他共に認める宝塚ファンの筆者も例外ではない。2022年2月に全面リニューアルした宝塚歌劇団の専用劇場「東京宝塚劇場」の座席について調べてみた。
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デジタル庁周辺「デジタル以前に仲が悪い」、組織超えた勉強会合宿は処方箋か
霞が関の各府省庁や地方自治体と連携し、行政デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する司令塔であるデジタル庁。ただ、その周辺からは、情報共有や連携がうまく進まないといった不協和音が聞こえてくる。
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作業者が歩く代わりに800台のAGVがひたすら働くモノタロウの物流倉庫
MonotaRO(モノタロウ)は2022年4月から稼働を開始した物流拠点「猪名川ディストリビューションセンター」(兵庫県・猪名川町)を2022年5月24日に公開した。機械製品や電気製品の組み立て・加工工場ではなかなか見られない、物流倉庫ならではの方法で800台もの無人搬送車(AGV)を運用する。
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「情報」はこれからの「家庭科」、みんなのコードの提言に見る教育の近未来
2022年4月、高校の情報科目が大幅に刷新され「情報I」が必履修科目になり、小学校でのプログラミング教育必修化(2020年度から)、中学校でのプログラミング教育の拡充(2021年度から)と続く一連の学校教育課程における情報教育の枠組みが出来上がった。その結果どんな人材が生み出されるのか。