健康・医療分野でウエアラブル端末の活用に注目が集まっている。健康やライフスタイルに関連したデータを収集することで、健康管理に役立てられるとの期待からだ。疾患の早期発見や治療後の体調管理に活用する研究も進む。現在主流の腕時計型やリストバンド型に加えて、将来、コンタクトレンズ型のウエアラブル端末が登場しそうだ。
コンタクトレンズ型のウエアラブル端末「スマートコンタクトレンズ」の登場を期待させる発表が2020年12月にあった。スマートコンタクトレンズ「Mojo Lens」を開発する米Mojo Visionがメニコンと共同開発契約を締結したのだ。両社でスマートコンタクトレンズに関するフィージビリティースタディー(実現可能性調査)に取り組むという。スマートコンタクトレンズの開発は国内外で進んできたが、メニコンの参入で開発競争がさらに激しくなるだろう。
Mojo Lensは拡張現実(AR)を利用して、ユーザーの視野に画像や記号、テキストを重ねて表示する。眼圧の変化などを計測する既存のコンタクトレンズ型センサーに比べて、より広い用途での利用が可能になりそうだ。将来の実⽤化を⽬指して試作を続けている。
価格については「最終的にハイエンドのスマートフォンと同程度にしたい」(Mojo VisionでProduct and Marketingを担当するSteve Sinclair氏)という。まずはロービジョン(弱視)など視覚に障害がある人に向けて、ARで物の輪郭を強調するといった支援機器として実用化する計画だ。医療機器として米FDA(食品医薬品局)などの規制当局の認可を受けて眼科を通じて販売する。
その後、幅広いユーザーへと対象を広げていく。用途を広げる過程で「さまざまな生体データを取得できるようにしていきたい」(Mojo VisionのChief Technology OfficerのMike Wiemer氏)という。目の動きを検知するセンサーを搭載していることから、「目の動きから健康に関連するデータを取得できるかもしれない。疾患の兆候を見つけられる可能性もある」(Mojo VisionでMedical Devicesを担当するAshley Tuan氏)とする。