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日経デジタルヘルス編集長 河合基伸
日経デジタルヘルス編集長 河合基伸

 「それではロボットを利用して手術をしましょうか」。「いやいや、ロボットなんてとんでもない。先生が手術してください。お願いします」――。手術支援ロボットの活用で実績がある医師が、ロボットの利用で効果がありそうな患者に手術の内容を説明しようとすると、難色を示されることがあるという。

 日本でも手術支援ロボットの導入数が増えており、今後は医師と患者で冒頭のような会話が繰り広げられることが多くなりそうだ。現時点で最も普及している手術支援ロボットは米Intuitive Surgicalの「da Vinci(ダビンチ)Surgical System」。2019年9月末時点で、日本では約350台、世界では5406台が導入されている。

 ダビンチは内視鏡手術を支援する。ロボットアームが内視鏡や手術器具を支え、執刀医は専用の機器に座り、手元のコントローラーから遠隔で手術器具を動かしていく。執刀医の手の震えが手術器具に伝わらず、操作がぶれないといった利点がある。

 この他に、整形外科の領域の手術支援ロボットも増えている。例えば米ストライカー(Stryker)の「Mako」(メイコー)や、英スミス・アンド・ネフュー(Smith & Nephew)の「NAVIO」(ナビオ)が日本で販売されている。医師が使う工具や患者に反射マーカーを設置して赤外線照射カメラで読み取り、それぞれの位置を正確に把握するのが特徴である。ロボットが事前の計画に合わせて位置を制御してくれるため、不要な骨を削ったり、人工関節の位置がずれたりすることが少なくなる。

 いずれの手術支援ロボットも執刀医の手技のレベルを一定にする効果が期待できる。しかし効果が期待できるにもかかわらず、まだまだ手術支援ロボットとその効果に対する認知度が低いのが現状だ。ロボットを活用した手術を手掛けるある医師は、「『ロボットがあるから、この病院に来ました』という患者はまだ少数だ」と肩を落とす。