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 ATMとは何の略称かご存じだろうか。“A”が「オートマチック」、“M”が「マシン」であることは想像がつくだろう。ただ、“T”が指す意味を知っている方は意外と少ないかもしれない。答えは「テラー」。銀行窓口のことを指す。つまり、店舗での窓口業務を代替する役割が期待されているわけだ。

 ATMが日本に姿を現してから40年が経過した。しかし、すべての窓口機能を代替するには至っていない。口座開設を申し込むことはできないし、投資信託を購入するのも難しい。そんななかで、デジタルバンクの足音が近づいてきた。スマートフォン1つで、ほとんどの手続きを完結できる。ATMが得意とする入出金こそできないが、そもそも現金を引き出すのは支払いで使うため。キャッシュレス決済さえあれば事足りる。

 正式名称通りの存在になりきれないまま、ATMは役割を終えていくのか。実際、そう見る向きはある。ATMの共同利用やアウトソーシングにかじを切る銀行は多く、「金食い虫」というイメージが浸透しつつある。徐々に台数が減っていくのは既定路線に見える。

 一方で、ATMを高機能にする動きもある。見据えているのは、まさに窓口業務の代替だ。

1円玉を探し回らずに済む

 三井住友銀行の店舗には、ATMコーナーではなく、窓口のすぐ横に「高機能ATM」が設置されている。行員による来店客の本人確認後、実際の手続きは高機能ATMで実施してもらうという流れを想定している。

 高機能ATMの売りは、税公金取引ができる点だ。同行の高機能ATMは文字認識技術を活用して、記述されている内容を識別。自治体ごとに形式が異なる納付書に対応する。一見地味な機能だが、税公金取引の約6割を銀行窓口が占めているという。ATMに代替してもらうメリットは大きいわけだ。

三井住友銀行の高機能ATM
三井住友銀行の高機能ATM
(出所:三井住友銀行)
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