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 自治体システムの機能だけでなく、住民の氏名や住所を示す文字コードも標準化する――。講演を聴いた筆者は「政府は本気だ」とうなってしまった。

 2021年6月15日、全国地域情報化推進協会(APPLIC)主催のオンラインイベントで、総務省地域情報化アドバイザーの前田みゆき氏が登壇。「自治体システムの標準化について」をテーマに講演した。

 前田氏は内閣官房IT総合戦略室(IT室) 政府CIO補佐官も務め、政府が進める自治体システム標準化の動向に詳しい。同氏は標準化の経緯や進捗を紹介したうえで、主な聴衆である自治体のシステム担当者に対して「標準仕様が固まるまでの間に、(システムが扱う住民データについて)外字から『文字情報基盤文字』への同定を進めてほしい」と呼びかけた。

政府は外字から「文字情報基盤文字」への同定を自治体に求めた
政府は外字から「文字情報基盤文字」への同定を自治体に求めた
(出所:前田みゆき氏)
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 筆者がこの発言に「標準化への本気度」を感じたのは、外字にまつわる問題は自治体システムの刷新を長年にわたり妨げてきた、いわばラスボスのような存在だからだ。

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 自治体システムが管理する氏名・住所などの住民データは、自治体や担当ITベンダーごとに文字コード体系が異なる。これが、ITベンダーの乗り換えが困難な「ベンダーロックイン」の一因にもなっている。東日本大震災の際、他の自治体が応援のため持ち込んだパソコンが、被災した自治体のシステムでは文字コードの違いから使えない事態に直面したこともあったという。

 こうした問題意識から情報処理推進機構(IPA)は、政府や自治体が使える統一文字「文字情報基盤」を整備。戸籍や住民基本台帳などが扱う約6万字の漢字を同定し、ISO/IECの文字コードに組み込んだ。

 ただし文字情報基盤を導入するには、自治体やITベンダーが過去に作成した外字について、文字情報基盤が扱う文字と同定するための膨大な作業が必要になる。前田氏は標準化の具体的なスケジュールを示しながら、改めて自治体に行動を促した格好だ。

5年以内に標準準拠システムへ移行

 日本政府は現在、原則として全ての自治体に対して、2025年度までに自治体の業務システムを「標準仕様」へ移行するよう求めている。これまで約1700の自治体がバラバラにシステムを構築した結果、特別定額給付金オンライン申請などのコロナ禍対策に際し、政府と自治体のシステムをスムーズに連携できなかったとの反省からだ。

 筆者は以前に同コラムで「5年以内に自治体システムを標準化する」という政府主導のスケジュール設定に疑義を示した。ただ一方、自治体システムの標準化は間違いなく必要なプロセスだと考えている。

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