全1925文字
PR

 「僕は入社して18年目なんですが、ずっと冬の時代を過ごしてきた。やっと長い冬眠が終わり、今が春なんです」。

 先日、消費者金融大手アコムが設立した新会社GeNiEの齊藤雄一郎社長にインタビューしたとき、彼がこんなことを口にした。スタートアップの創業者なら、取材の場で個人の思いを吐露することはよくあることだ。しかし、大手企業の関係者では珍しい。

GeNiE社長の齊藤雄一郎氏
GeNiE社長の齊藤雄一郎氏
[画像のクリックで拡大表示]

 齊藤社長が、「冬の時代」と表現したのは何のことか。端的に言えば、この10数年、消費者金融を巡る事業環境は暴風のなかにあった。

 2006年、貸金業法の抜本的な改正が成立。2010年に完全施行された。多重債務問題の解決を主眼とした法改正で、年収の3分の1を超える借り入れを禁じる「総量規制」や上限金利の引き下げが主な内容である。時を同じくして、「過払い金」の返還請求も盛り上がりをみせ、消費者金融各社は対応に追われ続けてきた。

 結果、アコムは新規投資の手を緩めざるを得なくなった。今でこそ、金融のイメージが強いアコムだが、かつてはビデオやCDのレンタル業に乗り出すなど、事業の多角化に貪欲だった。「さまざまなことに挑戦するアコムに憧れて入社した」と、齊藤社長は話す。

 長い雌伏の時を経て、ようやく打って出ることになった新規事業がGeNiEというわけだ。同社はEmbedded Finance(組み込み型金融)を手掛ける予定で、事業会社をターゲットにローン機能をはじめ、給与前払いやBNPL(後払い)といった機能を提供する方針。2021年6月、アコムの新社長に就任した木下政孝氏が新事業のアイデアを募集したのを機に、齊藤社長自身が企画書を作って通した案件だ。