年初の記事なので、2021年を展望する内容の方がよりふさわしいのかもしれない。だが今回は、もう少し先を見た話題に触れたい。資格試験の今後についてだ。
建設系の会社が集まる就活イベントで学生向けに話す機会が時々ある。例年であれば、大勢の学生と対面し、その反応を見ながら話題を提供できるものの、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンラインで一方通行の話をするほかなかった。
半面、会場まで足を運ぶのが難しい地域の方も、オンラインであれば交通費も不要で手軽に参加できる。そうした地域の方も含めて、例年よりも多くの方に情報を伝えられた点は大きな収穫だったと考えている。今後は情報を伝えるツールの特性を理解し、上手に使い分ける世の中になっていくのだろう。
就活イベントで私がよく持ち出すのは、キャリア形成と資格の関係だ。建設界には実務に不可欠な資格が数多くある。しかも、実務経験が受験資格や試験勉強と直結する資格が多い。仕事に注力することが資格取得に役立つだけでなく、資格取得を目指した勉強が業務に還元されやすい構造になっている。昇進や転職に資格を生かすのは当たり前の世界だ。
特に若い世代にとって、建設の仕事で生計を立てるという目標や、仕事へのモチベーションになるという点で、資格取得を目指す意味は大きい。
そんな建設関連の資格試験は、時代に応じて変化している。技術士第二次試験では19年度に択一式が廃止されて記述式に変わった。施工管理技士の試験も21年度に枠組みが変わる。この試験では以前、1級土木の種目で記述式の実地試験が難化。合格率が低下し、有資格者の供給が急減した時期があった。