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 米Apple(アップル)が開発中とされてきたヘッドセット(HMD:ヘッドマウントディスプレー)といえば、AR(Augmented Reality)用HMD(ARグラス)の通称「Apple Glass(アップルグラス)」だった。ところが2021年1月21日、アップルがVR(Virtual Reality)用ヘッドセットを開発中で、Apple Glassよりも先の22年に製品化すると米Bloomberg(ブルームバーグ)が報じた。やや意外と思えるニュースだが、その兆しはあった。

 例えば20年5月にアップルは、スポーツの試合や音楽イベントなどの映像をVR端末向けに配信する米NextVR(ネクストVR)を買収している。これで、同社がARだけでなく、VRにも強い関心を寄せていることが分かった。加えて、アップルのサプライヤーからは、同社が長らくVRヘッドセットの開発に取り組んでいるという声が聞こえていた。

 さらに、現在のVRやAR業界の状況を鑑みると、コンシューマー(民生)機器を手掛けるアップルが、VRヘッドセットを手掛けるのは理にかなう。ハードウエアとコンテンツ、そしてアップルの事業方針という3つの観点から、同社がVR事業を開始する可能性は高い。

 まずハードウエア。これまでさまざまな企業がVR用ヘッドセットの普及と量産に挑んできた結果、アップルがEMS(電子機器受託生産サービス)に製造を委託できる環境が整った。加えて、必要な部品のサプライチェーンも充実してきた。これまでのVRヘッドセットの累計販売台数と、各社のこれからの計画を合算すると、20年度中(21年3月まで)、遅くとも21年秋ごろに1000万台の大台に達する見込みだ。そのけん引役は、20年10月に米Facebook(フェイスブック)が発売したスタンドアロン型のVRヘッドセット「Oculus Quest 2」である。

「Oculus Quest 2」
「Oculus Quest 2」
(出所:フェイスブック)
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 アップル自体も、HMDではないものの、頭部に装着する機器の開発ノウハウをためてきた。イヤホンの「AirPods」から始まり、20年12月にはより大きいヘッドホンの「AirPods Max」を発売した。