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 かねて実現が疑問視されていた、米NVIDIA(エヌビディア)による英Arm(アーム)の買収が失敗した。アームを傘下に持つソフトバンクグループ(SBG)が2022年2月8日(日本時間)、エヌビディアと20年9月に合意したアームの売却を断念したと正式に発表した。2月8日はSBGの決算発表日であり、登壇した代表取締役 会長兼社長執行役員の孫正義氏が予定時間の大半を使って、断念に至った経緯やアームの今後の方策を念入りに語った。一方で、同年2月16日(米国時間)に決算発表を控えているためか、エヌビディア側から今後の戦略について詳細な説明はなかった。業績を伸ばし続け、時価総額で既に米Intel(インテル)や米Qualcomm(クアルコム)といった競合のおよそ3倍に達したエヌビディア。そんな同社はアーム抜きでどのような成長戦略を描いているのか。決算発表会で明かされたアームの戦略やこれまでのエヌビディアの活動からその方策が見えてくる。

 今後しばらくの間、半導体市場の成長をけん引するのは、5G(モバイル)、とクラウド(データセンター)、自動車の3つである。アームはモバイル向けCPUコアで大きなシェアを握り、最近はクラウドや自動車向けのCPUコア製品を強化してきた。モバイルで培った低電力技術は、消費電力の増大が課題となっているクラウドや自動車でも生かせるからだ。SBGの2月8日の決算発表の場にオンラインで登壇したアームの新CEO(最高経営責任者)のRene Haas氏は、同社の強みを改めて強調した。

 さらに孫氏は「メタバース(人々が交流可能な仮想空間)」でもアームの技術が今後、生きるとしている。まだ言葉が独り歩きしている感が否めないメタバースだが、自らが内容を定義し、プラットフォームを握ろうと大手ITが注目し、研究開発に多額の資金を投じている分野である。

Armの技術の特徴と狙う市場を説明する孫氏
Armの技術の特徴と狙う市場を説明する孫氏
(出所:ソフトバンクグループの決算説明会の動画を日経クロステックがキャプチャー)
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