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Uberの虎の子を買収

 21年1月下旬に開催されたVTOL機のイベント「8th Annual Electric Vertical Takeoff and Landing(eVTOL)Symposium and 9th Biennial Autonomous VTOL Technical Meeting」も、米新興企業のアピールの場となった。中でも注目を集めたのは米Joby Aviation(ジョビー・アビエーション)と米Wisk Aero(ウィスク・アエロ)などの発表である。共に新型コロナ禍前は、活発な動きを見せていた。このうち、JobyがeVTOL機の新興企業の中で資金と実績で頭1つ抜け出している。今や米国を代表するeVTOL機メーカーになりつつある。

JobyのeVTOL機
JobyのeVTOL機
(出所:Joby Aviation)
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 Jobyは、2009年に設立された企業で、本社を米カリフォルニア州サンタクルーズに構える。20年1月にトヨタ自動車から400億円を超える出資を得たことで一気に注目を集めた。20年12月時点で、累計で8億2000万米ドルの資金を調達したという。トヨタ自動車とは、機体の量産でもタッグを組む。機体の実力も、米航空宇宙局(NASA)や米空軍の「お墨付き」だ。JobyはNASAや米空軍のプロジェクトに深く関わる。

 UberのElevate部門を買収したのもJobyだ。同社は、複数社いたUber Airの機体開発パートナーのうちの1社。中でも完成度が高いとされたのがJobyの機体で、20年のウーバーの実証試験で利用される機体だと目されていた。そのため、売却先がJobyになるのは、自然な流れだった。Jobyは機体メーカーだったが、Elevate部門の買収により移動サービスの提供も可能になった。

 商用サービス開始のあかつきには、UberとJobyはそれぞれの移動サービスをお互いのアプリに統合する。これにより、将来地上と空の移動をシームレスに連携できる。狙いは、複数の移動手段を用いる「マルチモーダル化」によって、移動時間を短縮すること。1月のVTOL機のイベントに登壇した、Jobyで製品責任者(Head of Product)を務めるEric Allison(エリック・アリソン)氏は、この点を強調した。同氏は、元Elevate部門の責任者(Head of Elevate)である。空の移動サービスとマルチモーダル化の検証を目的に、Uber時代に19年7月からニューヨークで実施していたのが「Uber Copter」だった。ヘリによるオンデマンドの移動サービスだ。

元Uberで現JobyのAllison氏
元Uberで現JobyのAllison氏
写真は20年1月のCESにおける現代自動車のプレスカンファレンスに登場した同氏の姿である。(撮影:日経クロステック)
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 Uber Copterでは、離着陸場までは配車サービスで移動し、ダウンタウン(ニューヨーク マンハッタン)とジョン・F・ケネディ(JFK)国際空港の間を飛ぶ。コロナ禍前は、渋滞がひどかった区間だ。配車サービスとヘリ移動を組み合わせることで、シームレスな移動を実現できたという。Uber Copterの運用で得られたノウハウをeVTOL機による移動サービスに生かす考えだ。