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 約10年後に自動運転事業の売上高を500億米ドル(1米ドル115円換算で5兆7500万円)にする――。そんな野心的な目標を掲げる米General Motors(GM)が大きく動き出した。2022年2月1日(米国時間)、自動運転子会社の米Cruise(クルーズ)は、サンフランシスコで一般向けに、テストドライバーが同乗しない自動運転車による移動サービス、いわゆる「ロボタクシー」の受け付けを始めた。公式サイトで登録し、順番が来れば誰もが乗ることができる。サンフランシスコで無人タクシーを一般向けに提供するのはクルーズが初である。

夜中のサンフランシスコを走行するクルーズの自動運転車
夜中のサンフランシスコを走行するクルーズの自動運転車
(出所:クルーズの動画を日経クロステックがキャプチャー)
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クルーズの自動運転車の運転席
クルーズの自動運転車の運転席
運転席に誰もいない(出所:クルーズの動画を日経クロステックがキャプチャー)
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 記者もすぐに登録したが、登録確認のメールが届くのみ。3週間たってもなしのつぶてだ。クルーズは詳細を明かさないものの、「車両台数や時間帯を限定した小規模な運行のため、希望者全員が乗れるようになるにはしばらく時間がかかる」と説明する。

 多くの人がクルーズのサービスに興味を持つのは、完全な無人運転を全米有数の大都市であるサンフランシスコで体験できるからだ。自動運転技術のライバルである米Waymo(ウェイモ)はアリゾナ州フェニックスの一部地域で無人運転のサービスを一般向けに提供しているものの、同社がサンフランシスコで提供する一般向けサービスはテストドライバーが同乗する形態だった。クルーズは「サンフランシスコ市街地での運転は郊外に比べて40倍複雑だ」と、自社の自動運転技術の高さをアピールする。

 「これまでの私のキャリアで最も輝かしい瞬間になった」。GMのメアリー・バーラCEO(最高経営責任者)は22年2月1日に開いた2021年10~12月期決算の説明会で、クルーズが一般向けサービスを始めたことについて声を弾ませて語った。「(自動車や建物などが)密集する都市で一般に提供される初のドライバーレスのサービス」(バーラCEO)と胸を張る。

 バーラCEOが喜ぶのも無理はない。米カリフォルニア(加)州車両管理局(DMV)からテストドライバーが同乗する形での公道試験の認可を15年に得てから既に6年以上が経過。当初の予定よりも遅れに遅れて、やっと一般向けサービスの提供までこぎ着けたからだ。自動運転で最大のライバルであるウェイモに先行しただけに喜びもひとしおだろう。商業サービスに必要な複数の認可をすべて得ておらず、まだ無料だが、自動運転事業だけで売上高500億米ドルという目標に向けた「重要なマイルストーンに達した」(バーラCEO)とする。