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 電動の垂直離着陸(eVTOL)機の米スタートアップ(新興)企業Wisk Aero(ウィスク・アエロ)は一時、気息奄々(えんえん)の状態に陥っていた。同社は、シリコンバレーの著名人や米大手航空機メーカーBoeing(ボーイング)が設立に関わったことから注目を集めてきた企業である。ところが2020年に新型コロナ禍が直撃。感染拡大の真っただ中にあった20年春、同社の幹部は「非常に厳しい事業環境」と表情は硬かった。ところが状況が一変。2021年1月に開催されたVTOL機のオンラインイベント「8th Annual Electric Vertical Takeoff and Landing (eVTOL) Symposium and 9th Biennial Autonomous VTOL Technical Meeting」では、登壇したWisk CEOのGary Gysin氏が自信たっぷりに20年の成果や21年への意気込みを語った。

 Wiskは、19年12月にBoeingとeVTOL機の新興企業Kitty Hawk(キティホーク)が発足させた合弁企業である。そこに、eVTOL機による移動サービスを開発してきたニュージーランドの関連企業を合流させて、機体開発から移動サービスまで手掛ける企業になった。機体だけでなく、自律飛行技術の研究開発にも注力している。

 Kitty Hawkは、「自動運転の父」と呼ばれるSebastian Thrun(セバスチャン・スラン)氏がCEOを務め、米Google(グーグル)の創業者の1人であるLarry Page(ラリー・ペイジ)氏が出資したことで話題をさらった。一方のBoeingは、もともとパートナーだったeVTOL機と自律飛行技術を手掛ける米Aurora Flight Sciences(オーロラ・フライト・サイエンス)を17年に買収し、同機の開発に本腰を入れ始めた。

 Wiskの機体は当初、Kitty Hawkが単独で開発していた「Cora(コーラ)」を利用している。2人乗りで、巡航時の最高速度は毎時約160km。航続距離はおよそ40kmである。12枚の回転翼を備える。

Wiskの機体「Cora(コーラ)」(出所:Wisk)
Wiskの機体「Cora(コーラ)」(出所:Wisk)
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