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 スマートフォンのAR・位置情報ゲーム「Pokémon GO(ポケモンGO)」で知られる米ナイアンティック(Niantic)が、2020年3月にAR関連技術を手掛ける新興企業6D.aiを買収することを明らかにした(関連記事)。「ARクラウド」と呼ばれるAR技術プラットフォーム(基盤)を強化するのが狙いだ。数あるAR関係の新興企業(スタートアップ)のなかで、なぜ6D.aiを買収したのか。ナイアンティック Senior Vice President, EngineeringのYuji Higaki氏によれば、その理由は大きく3つあるという。

 第1に、ナイアンティックは、スマートフォンやARグラスといった電子機器がリアルタイムに利用できる世界の3次元(3D)空間マップの構築を長期目標の1つに掲げており、その達成に6D.aiの技術が必要だと判断したためである。6D.aiは、スマートフォンが備える一般的なカメラ1つで周囲の空間を撮影すれば、3D空間マップを生成できることを強みに持っている。6D.aiは3Dマップ作製に必要な一連の処理のうち大部分をスマートフォン側で処理している。

6D.aiの技術でオフィスをスキャンした結果。
6D.aiの技術でオフィスをスキャンした結果。
6D.aiの公式動画をキャプチャーしたもの
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 第2に、6D.aiが2017年に英オックスフォード大学からスピンアウトして設立された企業だということ。大学という研究ベースの企業がナイアンティックのAR技術の研究部門に加わることで、同部門の能力を大幅に強化できると判断した。今後、ARの技術や産業規模が成長する中で、ARや3Dマッピングの分野でリードしていくことが重要だとしている。

 第3に、企業文化や目標などが似ていたこと。例えば、3Dマップによって人々にどのようなことを実現してもらいたいのかというビジョンが一致していたという。特に両社ともプライバシー保護に重点を置いていたことが重要だったとする。カメラ画像から3Dマップを作製することから、取得した各種データを匿名化して個人情報を保護する。

 買収後、ARアプリの開発者に向けて6D.aiの技術を加えたSDK(ソフトウエア開発キット)を構築することを当面の目標に掲げる。まず自社アプリ向けで利用し、その後、外部のアプリ開発者(サードパーティー)にも順次提供する考え。ナイアンティックは2019年11月に、2020年から外部のアプリ開発者を支援する取り組み「Niantic Creator Program」を開始することを発表している。この取り組みを通じて、同社のAR技術基盤「Niantic Real World Platform」を外部開発者が利用できるようにする。加えて、「Niantic Beyond Reality Fund」と呼ぶ基金を設立し、開発を資金面でも援助する。外部開発者へ開放することで、ARの用途開拓を促す考えである。