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 米Apple(アップル)は2021年4月20日(現地時間)、タブレット端末「iPad Pro」の新型機を発表した。特徴は、内製のプロセッサー「M1」を搭載したことや、ミリ波帯の5G(第5世代移動通信システム)に対応したモデルを用意したこと、新しいディスプレーを採用したことなど。

 中でもAppleとして初めて採用したのが、微小なLEDを2次元状に配列した「ミニLEDバックライト」を採用したディスプレーである。LEDバックライトをち密に制御することで、コントラスト比や輝度といったディスプレー性能の向上につながる。iPad Proの採用を皮切りに、ほかのApple製品にも採用が広がりそうだ。さらに、同社が次世代ディスプレーとして本命視する「マイクロLEDディスプレー」の実用化に向けて一歩踏み出したと言える。

M1チップを搭載した新しい「iPad Pro」
M1チップを搭載した新しい「iPad Pro」
(出所:Apple)
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 ディスプレー業界でミニLEDというと、大きく2つの意味がある。1つは、LEDの1つひとつをディスプレーの画素として利用するタイプ。有機ELのような自発光型のディスプレーである。もう1つが、ミニLEDを液晶ディスプレーのバックライトとして用いるタイプだ。今回のiPad Proは後者のタイプで、直下型バックライトにミニLEDを採用した。画面サイズが11型と12.9型の2種類があり、このうち12.9型がミニLEDバックライトを備える。

ミニLEDをバックライトに採用した12.9型のiPad Proのディスプレー
ミニLEDをバックライトに採用した12.9型のiPad Proのディスプレー
(出所:Appleの発表会の動画をキャプチャーしたもの)
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 加えて、ローカルディミング機能を導入して高いコントラスト比や輝度を達成した。ローカルディミングとは、ディスプレー部(パネル)を複数の領域に分割し、領域ごとにバックライトの明るさを調節する技術である。これにより、コントラスト比を高める。具体的には、コントラスト比は100万対1で、フルスクリーンの輝度はピーク時で1600nit(cd/m2)に達する。

ローカルディミングを採用
ローカルディミングを採用
LEDを4つ1組で明るさを調節しているようだ。(出所:Appleの発表会の動画をキャプチャーしたもの)
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 2次元配列したLEDバックライトとローカルディミングを組み合わせるのは、例えばAppleのパソコン用モニター「Pro Display XDR」と同じ。ただし、LEDの個数やローカルディミングの領域数が異なる。Pro Display XDRでは、576個のLEDを搭載。領域数も同じ576のようだ。これに対してiPad Proでは、1万個以上のミニLEDを搭載し、ローカルディミングの領域数は2596に達する。以前のiPad Proでは、LEDの数は72個だったという。なお、12.9型iPad Proのディスプレーの画素数は2732×2048で、264ppi(pixel/inch)である。

ミニLEDの数は1万個以上
ミニLEDの数は1万個以上
(出所:Appleの発表会の動画をキャプチャーしたもの)
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 驚くべきはその価格だ。32型のPro Display XDRの価格は4999米ドルから。これに対してミニLEDバックライトを搭載した12.9型の新iPad Proの価格は1099米ドルからである。ディスプレーサイズなどの仕様の差はあるが、量産技術の向上によって、普及価格帯のモバイル機器に搭載できる水準にまでコスト削減できたのだろう。