自動運転においてシリコンバレー発の中国系企業の実力が目覚ましく向上している。原動力は、米国と中国の2つの拠点で、自動運転の研究開発と公道での試験運用を行えていることだ。米カリフォルニア(加)州車両管理局(DMV)による自動運転の公道試験に関する年次報告書では、優れた成績を記録。シリコンバレーの公道の一部で、テストドライバーなしの試験運用も許可された中国系企業もある。米国の新進気鋭のLiDAR(レーザーレーダー)企業とタッグを組み、ロボタクシー向け車両の量産を2023年に始める企業も現れた。自動運転分野で圧倒的な実績と実力を持つ米Waymo(ウェイモ)のライバルとして急成長している。
自動運転技術を手掛ける中国系企業のうち、21年4月~5月にかけて目立った動きを見せたのがPony.ai(ポニー・エーアイ、小馬智行)とWeRide.ai(ウィーライド・エーアイ、文遠知行)である。いずれも企業の評価額が10億米ドルを超える、いわゆる「ユニコーン」企業である。21年5月時点で、ポニーの評価額は約53億米ドル、ウィーライドは33億米ドルだとする。実力も伴う。加州DMVの報告書において、人の介入なしに自動運転機能で走り続けられる「自動運転継続平均距離」注1)でそれぞれ4位と6位につけるなど、好成績を収めた。具体的には、ポニーの自動運転継続平均距離は約1万7300km、ウィーライドは同1万500kmだった。
ポニーは21年5月、23年にレベル4の自動運転機能を備えたロボタクシー向け車両を量産すると明らかにした。米Luminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)と共同で開発し、同社のLiDARを搭載する。ルミナーのLiDARは、光の走査に機構部品を利用しない、いわゆる「メカレス」型だ。22年量産予定のLiDAR「Iris」は、最大500m、反射率10%の対象物でも250mの遠方までの測距が可能なことや、薄くて自動運転車のルーフ(天井)部分に搭載しても目立たないことを特徴にする。