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自動運転も物流分野へ

 自動運転の新興企業も物流分野に向かう。背景には、トラック運転手の人手不足と高齢化がある。そのため、自動運転分野では、移動サービスよりもむしろ物流分野への取り組みが活発である。米国各地では監視役の運転手を同乗させたかたちで、物流の主要な幹線ルートで自動運転トラックを盛んに試験運用している。

 とりわけ公道での試験運用に積極的なのが自動運転システムを開発する米TuSimple(トゥーシンプル)だ。同社は、西はアリゾナ州フェニックスから東はフロリダ州オーランドまでのルートで試験運用を実施中で、22年3月末時点で走行距離は延べ720万マイルに達した。21年12月には、アリゾナ州のフェニックスとツーソンの間を無人で夜間走行させるなど、完全無人化を視野に入れた活動も始めている。

トゥーシンプルの自動運転技術を採用したトラック
トゥーシンプルの自動運転技術を採用したトラック
22年1月開催の「CES」の同社ブースを撮影(撮影:日経クロステック)
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 22年3月時点での同社の自動運転システムの予約は約7500台分。商用車メーカーのうち、密接な関係にあるのが米Navistar(ナビスター)である。ナビスターと24年に10台のプロトタイプを造り、25年に製品としてリリースすることを目標に掲げている。

 このほか、自動運転の新興企業と、商用車大手や物流大手との提携は枚挙にいとまがない。最近では、22年4月に米Kodiak Robotics(コディアックロボティクス)が米物流大手U.S.Express(USエクスプレス)との提携を発表したほか、同年5月に米Apex.AI(エイペックスAI)がドイツDaimler Truck Holding(ダイムラートラックホールディング)から投資を受けたと発表している。

コディアックロボティクスがUSエクスプレスと提携
コディアックロボティクスがUSエクスプレスと提携
(出所:コディアック)
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 移動サービス向け自動運転技術で知られる新興企業も物流分野に力を注ぐ。例えば、米Waymo(ウェイモ)は自動運転機能を備えた大型トラックによる配送サービス「Waymo Via」に取り組んでおり、ダイムラートラックと提携している。米Uber Technologies(ウーバーテクノロジーズ)の自動運転子会社を買収したことで知られる米Aurora Innovation(オーロラ・イノベーション)も、商用車大手の米Paccar(パッカー)と協業している。

 物流テック向けファンドを立ち上げたアマゾンも、自動運転の導入に積極的な企業である。20年には自動運転新興の米Zoox(ズークス)を買収したほか、商用車向け自動運転技術を手がける米新興のPlus(プラス)に、1000台分の自動運転システムを発注している。

 コロナ禍を機に、がぜん注目を集めるようになった物流テック。多額の投資が集まり、次々に新しい技術が生まれる米国を中心にしばらくは活発な動きが続きそうだ。