全2707文字
PR

 AR(Augmented Reality)/ VR(Virtual Reality)業界をよく知るOri Inbar氏のインタビューを基に、AR/VR業界の現状を紹介する3回に分けて紹介する本連載。前回はコロナ禍による同業界の影響を取り上げた。今回は、米IT大手の動向を紹介する。

Ori Inbar氏
Ori Inbar氏
(写真:AWE USA)
[画像のクリックで拡大表示]

 米大手IT企業の中でも、Inbar氏はアップル(Apple)と米グーグル(Google)、フェイスブック(Facebook)をAR/VR業界の「3強」とする。特に同氏が注目するのがアップルである。アップルは社内にAR関連の技術者を多数抱えるとされる。2017年からARコンテンツの開発環境(フレームワーク)「ARKit」を開発者向けに提供し、継続的にアップデートしている。加えて、より手軽にARコンテンツを制作できるツール「Reality Composer」も提供している。2020年3月には、AR技術の性能を高めるために利用できるToFセンサー(LiDAR)を搭載した「iPad Pro」を発売。それと同時にARKitの最新版である「3.5」をリリースした。

2020年3月発売のiPad Pro
2020年3月発売のiPad Pro
[画像のクリックで拡大表示]

 こうして、ARコンテンツを制作する環境づくりを着々と進めている。そんなアップルに対して、「多くの人が待ち望んでいる」(Inbar氏)のが、同社が開発中だと噂されているARグラス、通称(仮称)「アップル グラス(Apple Glass)」である。過去を振り返ると、「iPodやiPhone、iPad、Apple Watchといった新しいカテゴリーの製品を、技術が成熟した良いタイミングでアップルは発売してきた。そのことを考慮すると、アップル グラスを発売するのは2022年になるだろう」(同氏)と予測する。

 アップルはAR関連の新興企業の買収にも積極的だ。2016年に買収された同氏が共同創業者だった米フライバイ メディア(Flyby Media、元Ogmento)を含めて、「過去5年間でおそらく20社ほどを買収しただろう」(Inbar氏)と説明する。同社はハードウエアとソフトウエアの両面でAR技術を持つ新興企業を継続的に買収しているとみる。いずれも小規模な買収額であり、主な目的は「優秀な人材や知的財産の獲得、そして買収相手の顧客の獲得にある」(同氏)と指摘する。