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 AR/VR業界をよく知るOri Inbar氏のインタビューを基に、AR/VR業界の現状を3回に渡って紹介する本連載。前回はAR業界の「3強」とする米アップル(Appple)と米グーグル(Google)、米フェイスブック(Facebook)の動向を取り上げた。3回目の今回は、米マイクロソフト(Microsoft)と米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)の動向を紹介する。

Ori Inbar氏
Ori Inbar氏
(写真:AWE USA)
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 マイクロソフトは、MR(AR)用HMD「HoloLens」を発売して以来、同HMD中心としたエンタープライズ向け(業務用)MR技術の開発に注力している。2019年11月に最新機種「HoloLens 2」を発売。既にB to B用途で活用されている初代HoloLensに比べて、性能を高めなるなどした結果、順調な滑り出しを見せている。「HoloLensの産みの親」として知られているアレックス・キップマン(Alex Kipman)氏は、2020年5月にマイクロソフトがオンラインで開催した開発者会議「Mixed Reality Dev Days」の基調講演で、HoloLens 2の好調ぶりをアピールした。例えば、発売以来、HoloLens 2の注文件数は好調で、既に初代HoloLensの7倍超だという。実際の利用件数も初代HoloLensの4倍以上だとする。これを受けてHoloLens 2の生産規模を2倍に引き上げ、旺盛な需要に応えてきた。それでも依然として、「バックオーダーを抱えている」(キップマン氏)状況にある。

2019年2月に開催された「MWC19」でキップマン氏が「HoloLens 2」を発表
2019年2月に開催された「MWC19」でキップマン氏が「HoloLens 2」を発表
(写真:マイクロソフト)
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HoloLens 2
HoloLens 2
(撮影:日経クロステック)
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 販売地域も拡大する。これまで10の国・地域で販売してきたが、2020年秋までに25の国・地域に広げる。米国や日本、ドイツ、中国での引き合いが多いという。提供先の間口も広げる。これまでは限れられた企業や開発者に向けて販売してきたが、2020年7月から一般販売を始める予定だ。

 マイクロソフトはHoloLensシリーズとともに、クラウド(Azure)側の環境も整備している。例えば、空間内に仮想オブジェクトとして配置する高画質な3D CGをクラウド側でレンダリングできる「Azure Remote Rendering」や、HoloLensに搭載したセンサーなどで現実空間を認識した空間データや仮想オブジェクトの位置などをクラウド上で管理・共有できる「Azure Special Anchors」といったサービスを提供している。

 このように、マイクロソフトはB to B向けに注力しているものの、Inbar氏はいずれコンシューマー(民生)用途にも本腰を入れるのはないかとみる。同用途には、「Windows MR」向けのビデオシースルー(ビデオ透過)型HMDが存在するものの、同社製ではなくサードパーティー製で、かつ現状では普及しているとは言い難い。

 マイクロソフトは民生用途で、ゲーム機のXboxシリーズやタブレット端末の「Surface」シリーズを手掛けており、「アップルほどとは言えないが、コンシューマー機器で成功している企業の1つ」(Inbar氏)。それだけに同氏は、HoloLensのようなAR用HMDをさらに小さく、軽く、安価にした上で「コンシューマー市場を狙うだろう」(同氏)とみる。