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 新型コロナウイルスの感染拡大を機に停滞気味だった自動運転技術の開発や実用化に向けた動きが米中で再加速している。2020年6月26日(現地時間)、米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)が自動運転技術を手掛ける米国の新興企業Zoox(ズークス)を買収すると発表した。コロナ禍で新興企業の淘汰が始まる一方、米Google(グーグル)から16年に独立した米Waymo(ウェイモ)や中国配車サービス大手の滴滴出行(DiDi)などが20年5月以降、多額の資金調達に成功している。自動運転技術の開発は、群雄割拠から米中大手への集約へとステージが変わりはじめた。

サンフランシスコの街中で停車中のズークスの自動運転車
サンフランシスコの街中で停車中のズークスの自動運転車
(撮影:日経クロステック)
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アマゾンは、以前から自動運転に関心

 ズークス買収を発表したアマゾンは以前から、自動運転による無人配送に強い関心を寄せていた。例えば19年1月に、6輪の小型配送ロボット「Scout(スカウト)」を、本社のあるワシントン州シアトルの郊外で試験導入すると発表している。

アマゾンの6輪の小型配送ロボット「Scout(スカウト)」
アマゾンの6輪の小型配送ロボット「Scout(スカウト)」
(出典:アマゾン)
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 アマゾンは、ズークスとは別の自動運転技術を有する米国の新興企業Aurora Innovation(オーロラ・イノベーション)にも投資している。自動運転技術だけでなく、電気自動車(EV)にも関心を寄せる。EVピックアップトラックを手掛ける米新興企業Rivian(リビアン)に出資している。アマゾンは同社に配送用EVバンを10万台発注している。

RivianのEV。2020年1月の「CES 2020」で、アマゾンのブースに展示されたもの
RivianのEV。2020年1月の「CES 2020」で、アマゾンのブースに展示されたもの
(撮影:日経クロステック)
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 アマゾンが自動運転技術やEVといったモビリティーに関心を寄せるのは、年々増え続ける膨大な配送コストを削減するためであろう。ドイツの調査会社Statista(スタティスタ)の調べによれば、19年の同社の配送コストは約379億米ドル(約4兆553億円、1米ドル=107円換算)と、前年の約277億米ドル(約2兆9639億円、同)に比べて約37%増えたという。自動運転技術の導入によって人件費を、EVで走行コストを抑制できる。

 コロナ禍により配送需要が急上昇し、アマゾンの配送コストの増加は続きそうだ。同社は需要増に応えるために、20年3月に10万人、同年4月にさらに7万5000人の雇用を募集した。新たな国で感染が拡大するほか、いったん収まりかけた国や地域でも「第2波」の到来する恐れがいまだに残る。それだけに、配送需要は今後も高止まりすると予想され、20年も大幅に配送コストが増えるだろう。