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 VR(Virtual Reality)用ヘッドマウントディスプレー(HMD)が続々と発売されたことから、「VR元年」とされた2016年。それからおよそ4年。この間、業界関係者が期待したほど市場は成長しなかった。だが、コロナ禍による世界中での外出制限措置によって、デジタルコンテンツの消費が増加。家にいながらリアルな体験できるとあって、VR業界がまた騒がしくなってきた。目立った動きをしているのが、米Apple(アップル)や米Facebook(フェイスブック)、そして米Qualcomm(クアルコム)だ。

 Appleは、2020年5月に米NextVR(ネクストVR)を買収した。NextVRは、スポーツの試合や音楽イベントなどの映像をVR端末向けに配信する技術に強みを持つ。日本ではソフトバンクが出資・協業してきた。

NextVRのWebサイトのトップページをキャプチャーしたもの
NextVRのWebサイトのトップページをキャプチャーしたもの
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 この買収はニュースサイトなどで驚きを持って報じられた。AppleはこれまでAR(Augmented Reality)に注力する姿勢を見せており、VRに対して消極的だとみられていたからである。だが、コロナ禍を機にゲームや動画といったデジタルコンテンツの消費が伸びたこと、そして同社がコンテンツ配信に近年注力していることを考え合わせると、新しい体験を提供できるVRの関連企業を買収することは自然な流れだったと言えるだろう。大勢の観客を入れたスポーツの試合や音楽イベントの開催などを、米国などで開催することが今後しばらく難しくなると予想される状況で、アップルが今後、VRコンテンツの配信に乗り出す可能性がある。