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 かねてソフトウエア重視の姿勢を見せてきた米Tesla(テスラ)が、その真価を発揮しつつある。2021年7月、同社の電気自動車(EV)で高度な運転支援が可能になる「FSD(Full Self-Driving)」と呼ぶ機能の月額提供(サブスクリプション)を米国で始めた。対応の車載コンピューターを搭載した車両であれば、OTA(Over The Air)によるソフトウエア更新によって、月額99米ドル、あるいは199米ドルでFSDを利用できる注1)。従来は、オプションとして一括購入するしかなく1万米ドルと高価だった。ソフト更新の仕組みを新しい収益モデルに結び付けた点で、テスラはトヨタ自動車やドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)など大手自動車メーカーの一歩先を走る。

注1)テスラ車では、FSDを選ばなかった場合、いわゆる先進運転支援システム(ADAS)の機能を選べるが、運転支援の度合いによって2つのグレードがある。高額で高度なグレードを選択している場合は月額99米ドル、標準のグレードを選んでいる場合には月額199米ドルでFSDを利用できる。なお、今回のサブスクは「FSD computer 3.0」以降の世代の車載コンピューターを搭載した車両に対応する。非対応の車載コンピューターを搭載した車両でも、有償で交換すればFSDのサブスクに対応できる。
テスラ車
テスラ車
カリフォルニア州で撮影(撮影:日経クロステック)
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 FSDの特徴は、従来の運転支援機能「オートパイロット」に比べて高度な運転支援が可能になること。例えば、信号や一時停止の標識を認識して、自動で減速できる。その名にあるように、将来、OTAによって完全自動運転すら可能になるとテスラは説明している。ただし、現状では「レベル2」相当の機能なので、運転者はハンドルに手を置いて進行方向を監視しておく必要がある。

 FSDのサブスクリプション提供は、テスラCEO(最高経営責任者)のElon Musk(イーロン・マスク)氏が以前から度々言及してきた。当初は20年内の開始を予定していたが、ほぼ半年遅れで実現にこぎ着けた格好だ。OTAによるソフト更新で機能の改良や新サービスの提供をする仕組みを多くの自動車メーカーが検討し、導入しつつある。例えばトヨタ自動車は、21年4月発売の高級車「レクサスLS」とFCV(燃料電池車)「MIRAI」に搭載した高度運転支援システム「Advanced Drive」で、トヨタの量産車として初めてOTAでのソフト更新に対応した。

「Advanced Drive」対応の自動車
「Advanced Drive」対応の自動車
左が「レクサスLS」、右が「MIRAI」(出所:トヨタ自動車)
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