米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)が、テクノロジーを活用した次世代店舗の拡大に力を注いでいる。レジレス技術を導入した店舗は50を超え、人工知能(AI)を活用した同社初のアパレル店を2022年5月に開設した。新たな購買体験を顧客に提供しつつ、これまで電子商取引(EC)では取得が難しかった現実空間における顧客の購買行動をデータ化する。加えて、このデータを活用して伸長著しい広告事業で一層の急拡大を狙う。
アマゾンがレジレス技術「Just Walk Out」を採⽤したコンビニタイプの⼩型店舗「Amazon Go」を開店したのは2018年1⽉のこと。同社はAmazon Goを米国の主要都市に広げつつ、生鮮食品を幅広く扱うスーパーマーケットタイプの大型店舗「Amazon Fresh」を2020年に開店。2021年から一部の店舗でJust Walk Out技術の導入を始めた。そのAmazon Freshの⼀部店舗で新たに導⼊を進めているのが、スマートカート「Amazon Dash Cart」(以下、Dash Cart)だ。カートに付いた端末で個⼈認証を済ませた後、カートに商品を⼊れたまま店外に出れば、そのまま決済できる。
そもそもAmazon Goでは、入場ゲートでアプリなどを使って個人認証して入店すれば、商品を手にしたままレジを使わなくても退場するだけで決済できる。天井のカメラやコンピュータービジョン(CV)技術、商品棚の重量センサーを駆使して、客の行動や手に取った商品を把握することで可能にした。Dash Cartは、いわば「カート版Just Walk Out」だ。