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露呈する弱点

 AI技術関連の取り組みに関しては、Armが本社を構える英ケンブリッジに、新たにAIの研究施設を設ける。ArmプロセッサーとNVIDIAのGPU、そしてMellanoxのネットワークカードを搭載したスパコンを設置。これにより、英国、および世界中のAI関連の一流の研究者や技術者、スタートアップ企業などを引き付ける「ハブ」施設として機能させることを狙う。

 もっとも、この優秀な人材の確保が、今回の買収における弱みの1つだろう。NVIDIAによる買収で、Armから人材が出ていく可能性がある。実際、Armはソフトバンクグループによる買収後のインタビューで、買収時の課題として有能な人材の流出を挙げている。例えば当時のCFOは「上場企業で働きたい」と言ってArmを去り、Executive Vice PresidentだったThomas Lantzsch氏は、米Intelに移ったという。

 今回の最大400億米ドルでの買収金額のうち、総額15億米ドル相当のNVIDIA株式報酬がArmの従業員に付与される。これは、人材流出を防止する施策だとみられる。

 加えて、ArmのIP事業がこのまま継続するとしても、Armコアを利用しているNVIDIAの競合企業の動向が気になる。こうした競合が、これまで通りにArmコアを使い続けるのか疑問である。ArmコアのライバルとされるオープンソースのCPUコア「RISC-V」に流れる可能性もあるだろう。さらに、ArmはCPUコアだけでなく、GPUコア「Mali」シリーズも手掛けている。今回の買収によって、Maliの扱いがどうなるのか、現時点では不透明だ。

 2020年10月、ArmとNVIDIAはそれぞれ大規模なオンラインカンファレンスを開催する。前者の「Arm DevSummit 2020」は同月6~8日、後者の「GTC 2020」は5~9日の開催である。両カンファレンスで、こうした疑問が一部、解消されるかもしれない。