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 米NVIDIA(エヌビディア)による英Arm(アーム)の買収に伴い、2020年9月13日(米国現地時間)、報道機関とアナリスト向けに電話会議(カンファレンスコール)が実施された。NVIDIA President and CEOのJensen Huang氏とArm CEOのSimon Segars氏が報道機関やアナリストからの質問に答えた。両者は買収の意義を強調したものの、「アキレス腱」となりそうな弱みもうかがえた。

2020年9月のオンラインイベントで自社製品をアピールするNVIDIAのHuang氏
2020年9月のオンラインイベントで自社製品をアピールするNVIDIAのHuang氏
(出所:イベントの公式動画をキャプチャーしたもの)
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2019年10月の「Arm TechCon 2019」に登壇したArmのSegars氏
2019年10月の「Arm TechCon 2019」に登壇したArmのSegars氏
(撮影:日経クロステック)
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  電話会議の中でHuang氏は、ArmとNVIDIAは「完全に補完関係にある」(同氏)とし、今回の買収の意義を強調した。例えばNVIDIAは「CPUコアも命令セットも持たず、他社に半導体のIPをライセンスしていない。さらに、携帯電話機(スマートフォン)向け製品を(現在)手掛けておらず、Armと大きく異なる」(同氏)と語った。

 その後NVIDIAは、例えばスーパーコンピューターやサーバーなどに向けたプロセッサー開発に注力すること、ArmのIPライセンス事業、ならびにAI(人工知能)技術関連の取り組み強化などについて語った。

 サーバー向けプロセッサーに関する取り組みを一層加速させるとし、ArmのCPUコアを採用した事例として、理化学研究所と富士通が共同開発したスパコン「富岳」のプロセッサー「A64FX」や米Amazon Web Services(AWS)のサーバー向けプロセッサー「Graviton」を挙げた。中でも富岳は、スパコンの性能を競う世界ランキング「TOP500」で1位を獲得したことから、「本当に素晴らしい事例」(NVIDIAのHuang氏)とたたえた。

 加えて、データセンター向け半導体製品を手掛ける上で、Armが持つ半導体IPのほか、関連のソフトウエアライブラリーやアプリケーションフレームワークなどが豊富にある点を強調していた。

NVIDIA製Armコア搭載プロセッサーを開発

 NVIDIAはArmの半導体IPのライセンス事業を行うことを明言。今後もArmの新規IPを積極的に開発・追加していく方針を示した。NVIDIAの傘下になることで、さらに多くの投資を実施できるようになると説明する。サーバー向けプロセッサーに関しては、自社で設計したい企業に対して変わらずにArmのIPを販売するほか、NVIDIAが自社のArmコア搭載プロセッサーICを販売したり、ユーザーがある程度カスタマイズできるセミカスタムICを販売したりする考えを示した。これに加えて、従来NVIDIAが持つGPUアクセラレーター製品や、同社が買収した米 Mellanox Technologiesのネットワーク製品を一緒にデータセンター市場に売り込む。