ビッグデータ分析のサービスや製品、コンサルティングなどを手掛ける米テラデータ(Teradata)が再成長への道筋を付けつつある。
従来の分析ハードウエアの売り切りから、サービス契約のサブスクリプションへの転換を推進。通期では減収が続いているものの、2018年11月1日に発表した2018年1~9月期決算でプラスに転じた。分析サービス群もリブランドし、プラットフォームサービスとしての位置付けを明確にした。
スマートカーやスマートシティー向けを強化
同社が2018年10月14~18日に米ラスベガスで開いた年次イベント「Teradata Analytics Universe 2018」は、まさしく新生テラデータを印象付ける内容だった。企業ロゴを刷新し、主力の分析サービス群「Teradata Analytics Platform」を「Teradata Vantage」にリブランドした。
Vantageは、分析用のクエリーを処理する高速なSQLエンジンを中核に、機械学習などの機能を搭載したプラットフォームだ。SQL以外にPythonやRなどの言語を使え、ScalaやGoなどにも対応予定だ。テラデータはオープン戦略に転換しており、同社のクラウド環境のほか、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureでも稼働する。
今回、Vantageについては、2つの方向性を示した。
1つは、時系列と3次元の地理空間のデータを組み合わせた4次元の分析機能「4D Analytics」の搭載だ。グラフ処理エンジンによって、時系列のデータにGPS(全地球測位システム)などの位置情報を掛け合わせて分析できる。「どうすれば問題を解決できるか、それぞれの結果がどのような要因で引き起こされているか、複数の道筋を見比べることが可能だ」(プロダクト&テクノロジーのリーマ・ポダー上級バイスプレジデント)。
距離や2地点間の関係、時間軸を基にした分析が専用エンジンで容易になる。スマートカーやMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)、ウエアラブル、スマートシティーなど新分野におけるIoT(インターネット・オブ・シングズ)の分析・活用を推進していく狙いがある。
例えば公共交通やクルマ、信号機、人の動きなどのビッグデータを分析し、最適な交通制御を見いだすといった用途を想定する。スウェーデンのボルボ・カーズ(Volvo Cars)や独シーメンス(Siemens)、米シスコシステムズ(Cisco Systems)などが先行して4D Analyticsを活用しているという。