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 米Apple(アップル)が2020年11月10日(現地時間)に発表した自社製プロセッサー「M1」とM1搭載のMacから、同社の製品戦略が見えてきた。まずは手ごろな価格のエントリーモデルからM1を採用し、コストパフォーマンス(コスパ)の良さを訴求して、一層の新規ユーザーの獲得に力を入れる。在宅勤務(WFH:Work From Home)や遠隔教育に向けた機能も搭載。さらに「ゲーム機」としての側面を打ち出すことで、コロナ禍で拡大した法人・民生の需要を取り込む構えだ。

AppleはM1を発表(出所:Apple)
AppleはM1を発表(出所:Apple)
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 Appleはこうした方針を既に採っている。例えば「Apple at Work」と銘打って展開している法人向け事業を強化。在宅勤務に向けてWebサイトを大幅に刷新するとともに、Apple製品を利用した在宅勤務のイメージを促す映像作品を公開するなど、在宅勤務需要を積極的に取り込む姿勢を見せている。20年9月には、「iPad」や「iPad Air」の新製品を発表。コスパの良さから人気が出ている。さらに、前モデルが量販店などで値下げされ、「買い得感」が高まった。こうした一連の施策の成果は数字に表れている。

 同社が10月に発表した20年7~9月の決算によれば、前年同期に比べてiPadの売上高は46%増、Macは同29%増と大幅に伸びた。11月10日に開催したオンライン発表会で、Apple CEOのティム・クック氏は、現在Macを購入している人の50%以上が新規ユーザーだと明かした。

 AppleはMacの中でもエントリーモデルを中心にM1を採用。これによりコスパを高めて既存のMacユーザーの買い替え需要や、Windowsパソコンから乗り換えを促す。パソコン事業で勢いがある今、M1採用の新Macの投入は、絶好のタイミングといえるだろう。