ニュース解説:土木
目次
-
建設業の失踪者は年4000人、人権侵害で「技能実習」見直しへ
政府は、国内外から「奴隷制」とも批判される外国人技能実習制度を見直す。実習生を受け入れる企業側の人権侵害や法令違反が後を絶たないためだ。建設関係では実習生の失踪者が年4000人近くに上り、法令違反率が8割に達する。
-
地方空港の「MMS導入」2割、新技術の活用進まぬ公共事業(後編)
空港の管理で滑走路の点検の効率化につながると期待されるMMS(モービル・マッピング・システム)の活用が進んでいない。自治体が管理する地方管理空港などで、滑走路の点検にMMSを導入しているのは2割余りにとどまる。
-
「NETIS見ない」自治体5割、新技術の活用進まぬ公共事業(前編)
公共事業のコスト削減や業務効率化などを目的に、国土交通省が旗を振る「新技術の活用」が進んでいない。国交省や自治体が発注した橋梁やトンネルなど道路施設の点検・修繕業務で、新技術の活用を検討したのは全体の6割弱にとどまる。
-
外注先の社員の身分を偽装して指名停止、匿名通報で発覚
愛媛県は、県から受注した調査業務を無断で再委託した建設コンサルタント会社を2022年7月29日から4カ月の指名停止とした。再委託先の社員を自社の社員と偽っていた。匿名の通報を受けた県の調査で判明した。
-
再エネ紛争防止は“横串”で、太陽光の林地開発許可を0.5ha超に
再生可能エネルギーの発電事業を巡り、自治体や住民の間で土砂流出など災害の発生や環境・景観への悪影響を懸念する声が強まっている。政府は再エネ事業のトラブル防止に向け、省庁横断的な取り組みを強化する。
-
東芝が床版内部のひび割れを可視化、24年度のサービス開始目指す
東芝は、目視点検で確認できない鉄筋コンクリート(RC)床版内部のひび割れ位置を、センサーを使って可視化する技術を開発した。道路事業者向けのサービスとして、2024年度の提供開始を目指す。サービスは、東芝プラントシステムと共同で展開する。
-
大林組が3DプリンターとロボットでPCaブロックを自動製造
大林組は、ロボットによるコンクリートの打設技術と3D(3次元)プリンターを使ってプレキャストコンクリート(PCa)ブロックなどの構造物を自動で製造するシステムを開発した。PCaブロックを製造するための鋼製型枠が不要になる。加えて、複雑な形状や多品種の構造物を容易に製造できる。
-
関電が蔵王の風力発電計画を撤回、宮城・山形両県から“集中砲火”
関西電力は、宮城と山形の両県にまたがる蔵王連峰で検討を進めていた風力発電事業を撤回した。景観や自然環境への悪影響を懸念する両県から“集中砲火”を浴び、「環境への配慮と事業性の両立が難しい」と判断した。
-
ドローンの操縦に新資格、国交省が試験内容や教則を公表
ドローンの運用ルールなどを定めた改正航空法の施行を2022年12月に控え、国土交通省は操縦者の技能を証明する新たな資格の試験内容や講習に用いる教則の具体案を示した。22年7月25日にパブリックコメントの受け付けを開始。年度内に初回の試験の実施を予定する。
-
鉄筋使わず床版を接合する継ぎ手工法、公共工事に初適用
日鉄エンジニアリング(東京・品川)と極東興和(広島市)が共同で開発したプレキャスト床版継ぎ手「ELSS Joint(エルスジョイント)」が、公共工事で初めて採用された。従来のループ継ぎ手と異なり鉄筋などを用いず、床版を桁に固定して床版間に専用材料を充填するだけで接合できる。
-
コロナ禍で増えた「ゾンビ企業」16.5万社、建設業は最多の3割強
事業で稼いだ利益で借入金の利息を払えない「ゾンビ企業」が増えている。新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年度は約16万5000社で、前年度を1割ほど上回った。ゾンビ企業のうち、建設業は最多の3割強を占める。コロナ禍の政府支援で延命している可能性がある。
-
予定価格を開示して再入札、横浜市が不調の回避狙い新方式
横浜市は、市が発注する工事の入札で不調となった場合に、工事内容を変えずに予定価格を明かして再入札する仕組みを導入した。2022年7月26日以降に公告する入札に適用している。工事の内容を変えて再公告する従来の方法と比べて、早期の落札が期待できる。
-
地方都市には一気通貫の提案が必要、日本工営都市空間の吉田社長に聞く
日本工営の都市空間事業部門と玉野総合コンサルタント(名古屋市)が2022年7月1日に統合し、日本工営都市空間(名古屋市)として新たにスタートを切った。インフラの老朽化や人口減少・高齢化など多くの課題を抱える地方都市で、これからの街づくりにどう取り組むのか。日本工営都市空間の社長に就いた吉田典明氏に…
-
条例に反して町営住宅に居座る男性の会社を入札参加停止9カ月
奈良県広陵町は、自身が住む町営住宅を無許可で解体して自宅を建設した男性が経営する野村建設(奈良県広陵町)を、2022年6月22日から9カ月の入札参加停止とした。奈良県も6月27日から同様の措置を講じている。野村建設が22年5月に約1億2000万円で落札した調整池整備工事の請負契約締結案は、広陵町の…
-
東京地裁「原発事故は防げた」、最高裁の津波対策“後知恵”説を論破
東京電力福島第1原子力発電所の事故を巡る株主代表訴訟で、東京地裁は2022年7月13日、旧経営陣4人に計13兆3210億円の賠償を命じる判決を出した。旧経営陣が津波による敷地の浸水の可能性を念頭に、主要建屋の開口部に防水扉を設置するなど防護措置(水密化)を講じていれば事故を防げたと断定した。
-
ローカル線などJRの53橋に洗掘の恐れ、国交省が監視強化や補強を要請
JRが管理する河川橋梁約5000橋のうち、橋脚の洗掘リスクがある472橋を各社が緊急調査したところ、11%を占める53橋に「計画的な措置」が必要な変状などが見つかった。調査を要請した国土交通省が2022年7月19日に発表した。
-
洋上風力で落札制限、異論続出でも最後は「えいや」の割り切りか
再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電事業で、政府は事業者選定ルールを変更し、複数海域で同時に公募する際の参加者の受注件数を制限する「落札制限」を導入する。経済産業省と国土交通省が2022年7月14日に始めたパブリックコメント(意見公募)で、落札制限を盛り込んだ変更案を提示した。
-
技術者の実務経験偽りトリプル処分、1人の経歴詐称で3つの“罪状”
公共工事の受注などを目的に技術者の経歴を偽った建設会社が、関連する3つの不正を摘発され、営業停止や指名停止の重いペナルティーを科された事件があった。国土交通省近畿地方整備局は、大阪府知事許可を持つ前田組(大阪府高槻市)を2022年7月15日から4カ月の指名停止とした。
-
工事履歴を反映せずに耐震補強発注、施工者の指摘で気づき契約解除
中央自動車道の橋脚の耐震補強で、中日本高速道路会社が過去に施工した巻き立てなどの補強を反映していない設計図を基に施工者と契約を結んでいたことが分かった。施工履歴を設計者に正しく伝えていなかったのが原因だ。工事の続行が難しいと判明したため、施工者と結んだ契約を締結から約10カ月後の2022年6月17…
-
国も県も耐震補強できない? 秋田のエクストラドーズド橋
1998年に完成したエクストラドーズド橋などで構成する秋田県道325号の翔鷹(しょうよう)大橋(秋田県北秋田市)で、耐震補強の計画が技術的な難しさから行き詰まっている。橋を管理する県は工事の発注を棚上げ。国土交通省も「実現性が低い」と判断した。