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特徴(1)難解ではない

 現代美術の作品には、作者が何を表現したいのか分かりにくいものが多い。タイトルを手掛かりにしようとしても「無題」だったり、何かの隠喩のような語句が並んでいたりする。謎解きや迷宮にいるような気分を楽しむつもりで現代美術展を見に行く筆者も、取り付く島が無いように感じて閉口することが時にはある。

 GROUND NO PLAN展では、作者は主要な作品に手書きの文章を壁新聞のようにびっしりと書き込んでいる。例えば「新宿御苑大改造計画」では、「とにかく山と谷と川を作ります」、「川を作る工事はこの改造案の、まさにメイン・イベントといえるでしょう」といった調子の率直で平易な文章だ。作者の考えに共感するかどうかは別として、何を考えているかは誰にでも分かるだろう。

特徴(2)「街にアートを」とは主張しない

 現代美術家の街づくり参加で最も広く知られるのは、街角へのパブリックアートの設置だろう。美術家が街づくりについて提言すると聞くと、よくある「街にアートを」ではないかと冷めた受け止め方をする人もいるかもしれない。

 GROUND NO PLAN展はこの点でも異色の展覧会だ。本展での会田氏は都市整備の実務者に近い視点からの提言を試みている。会場には「都市計画家も建築家もアーチストも何もやるな」と大書した立て看板がある。「何もやるな」はやや誇張した表現で、街づくりでは既存のプロと同様に美術家も前面に出すぎるなという趣旨だと筆者は解釈した。

内覧会でまとったテンガロンハットと服装は、20世紀後半の現代美術を代表するドイツ出身の美術家ヨーゼフ・ボイス(1921年~86年)のスタイルに倣った。会田氏は美術界だけにとどまらず社会活動にも取り組んだボイスの姿勢を意識して本展に取り組んだという(撮影:日経コンストラクション)
内覧会でまとったテンガロンハットと服装は、20世紀後半の現代美術を代表するドイツ出身の美術家ヨーゼフ・ボイス(1921年~86年)のスタイルに倣った。会田氏は美術界だけにとどまらず社会活動にも取り組んだボイスの姿勢を意識して本展に取り組んだという(撮影:日経コンストラクション)
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 上の写真に一部が写っている作品「セカンド・フロアリズム」は、「快適なスラム」というテーマで低層密集市街地の再生を訴えている。内容には住宅業界で実用化しているスケルトン・インフィル住宅に近い考えや防災重視の姿勢を見いだせる。作者は会場入り口に掲げた挨拶文では「やっぱりバカなことを考えたい」などとおどけてみせながらも、真摯な姿勢で制作に取り組んだことが作品に表れている。