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 リニア中央新幹線の談合事件を受け、同じく大手建設会社4社による談合疑惑で昨年9月に契約手続きを中止した東京外かく環状道路(外環道)の地中拡幅工事が滞っている。

 工事を発注する東日本と中日本の両高速道路会社が昨年末ごろには入札を再公告するとみられていたが、同時期にリニア談合事件が“炎上”し、それどころではなくなった。外環道関連工事の契約手続きを中止してから半年。いまだ発注の見込みは立っていない。

 リニア談合事件が外環道談合疑惑に波及する可能性があるなかで、2020年東京五輪も見据えたビッグプロジェクトの行方に不透明感が漂っている。

外環道都内区間のトンネル本線と地中拡幅部の工区と施行者(国土交通省や高速道路会社の資料を基に日経コンストラクションが作成)
外環道都内区間のトンネル本線と地中拡幅部の工区と施行者(国土交通省や高速道路会社の資料を基に日経コンストラクションが作成)
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 外環道都内区間の中央ジャンクション(JCT)で分岐合流部を構築する地中拡幅工事について、設計・施工者の選定を進めてきた東日本と中日本の両高速道路会社は昨年9月、大手4社による談合の疑いが払拭できないとして契約手続きを中止。公正取引委員会と警察庁に疑惑を通知した。

 3カ月後の昨年12月、東京地検特捜部がリニア建設工事を巡る偽計業務妨害の疑いで大林組を強制捜査。捜査の過程で大手4社による談合の疑いが強まったとして、特捜部と公取委が合同で4社を家宅捜索した。

 そうしたなか、外環道談合疑惑でも関与が取り沙汰されている大林組がいち早くリニア談合事件で不正を認めて公取委に自主申告(自首)し、同じく清水建設が後に続いたとされる。

 公取委がこれまで手掛けた談合事件では、自首した建設会社の情報を基に関連する談合疑惑を芋づる式に摘発していったとみられる事件もある。例えば、2015~16年に発覚した一連の舗装談合事件がそれだ。