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 国土交通省は3月13日、富士山の噴火で生じる土砂災害に備えて、仮設の堰堤(えんてい)を設置することなどを盛り込んだ緊急減災対策を定めた。着手するのは噴火の前兆が表れた時だが、平常時から行うべき準備事項も列挙している。

北から見下ろした富士山とその周辺のイメージ(出所:国土交通省)
北から見下ろした富士山とその周辺のイメージ(出所:国土交通省)
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 富士山は1707年の宝永噴火の後は静穏な状態で、現在も噴火の前兆が表れているわけではない。しかし2000年、山体地下深部で火山特有のゆっくりとした低周波地震が群発したことをきっかけに、国交省は富士山噴火の時に想定される土砂災害の軽減策の本格的な検討を始めた。

 国交省富士砂防事務所は学識者と行政担当者で構成する富士山火山砂防計画検討委員会(委員長:池谷浩・山梨県富士山科学研究所客員研究員)を設置し、山梨県、静岡県などとともに富士山火山噴火緊急減災対策砂防計画の策定に着手。15年12月に基本編、このたび対策編を取りまとめて同計画を完成させた。

■緊急ハード対策実施の制約
■緊急ハード対策実施の制約
(出所:国土交通省)
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 ハード面の緊急対策は降灰後の土石流、溶岩流、積雪時に発生する融雪型の火山泥流を対象とした。火口位置をある程度特定した段階で、山麓の居住地域より上部のエリアのうち、対策工事の作業員の避難時間が確保できない標高1000~1200m以上の斜面を除いた範囲で実施箇所を選定する。

 対策実施箇所で、既設砂防施設については除石やかさ上げで土砂の捕捉量を増やすほか、必要に応じて仮設の堰堤や導流堤を設置する。基本的に直轄工事で実施する。