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 国土交通省の調査によると、公共工事に従事する労働者のうち雇用、健康、厚生年金の3保険全てに加入する人の割合が2017年は85%と前年の76%から大幅に上昇した。企業単位で見ても加入率は上がっているが、伸びは鈍化した。国交省が3月14日に発表した公共事業労務費調査で明らかになった。

社会保険への加入率
社会保険への加入率
昨年10月調査の結果。上が企業別で下が労働者別(出所:国土交通省)
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 国交省の直轄工事では、昨年4月から元請けと1次下請けに加え、2次以下の下請けも保険加入企業に限定している。建設業法を改正して、未加入企業には建設業許可・更新を認めないようにすることも検討されている。こうした対策強化の効果が表れているとみられる。

 特に次数の高い下請け労働者の加入率上昇が著しい。3保険全てに加入する労働者の割合は、昨年10月時点で1次下請けが前年から9ポイント上昇して83%。2次下請けは15ポイント上昇して85%となり、初めて1次下請けを上回った。

労働者別の社会保険への加入率の推移
労働者別の社会保険への加入率の推移
(出所:国土交通省)
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 保険の種類別では、雇用保険に加入する労働者の割合が91%と7ポイント上昇した。健康保険は9ポイント増の89%、厚生年金は8ポイント増の86%。3保険全ての加入率は、調査を始めた11年10月に比べて28ポイント改善している。

 労働者単位の加入状況を都道府県別で見ると、3保険全てに加入する労働者の割合が最も高かったのは石川県で94%。これに、岩手県が93%で続いた。加入率が最も低かったのは大阪府で70%。沖縄県が71%でこれに続いた。ただし、大阪府の加入率は前年に54%だったので、16ポイント上昇している。沖縄県の改善幅はさらに大きく、前年の48%から23ポイント改善した。