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 開通直後のトンネル内で粉じんが舞い上がり、あえなく通行止めに――。福島県の八木沢トンネル(南相馬市、飯舘村)で3月18日午後3時過ぎ、粉じんがトンネル内部に充満し、視界不良となるトラブルがあった。コンクリート舗装が固まる際に浮き出たセメント成分が表面に残っていて、車両の通行によって飛散したとみられる。散水して粉じんの飛散を抑え、同日午後8時に通行止めを解除した。

散水車でトンネル内に水をまいて粉じんを抑制した(出所:福島県)
散水車でトンネル内に水をまいて粉じんを抑制した(出所:福島県)
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 舗装後の清掃が不十分だったと考えられるが、工事を発注した福島県では、施工後の検査で合格としていることから、今のところ施工者の責任は問わない考えだ。県の担当者によると、清掃不足による粉じんで通行止めになった例は聞いたことがないという。

 県は、トンネルの延長と換気方法にも一因があるとみている。「道路トンネル技術基準(換気編)・同解説」では、延長2.5kmで対面通行のトンネルに対し、1時間当たり400台以上の交通量がある場合に、ジェットファンなどの換気設備を設置するよう求めている。

 対面通行の八木沢トンネルの延長はこれより若干短い2345mで、交通量は1時間当たり320台程度と基準より少ない。そのため、自然換気で間に合うと判断して換気設備は設けていなかった。

 通行止めを解除した後も随時、散水車で路面に水をまいて粉じんの飛散を抑制。19日の夜から路面清掃車を投入して粉じんの除去を始めた。

3月18日に開催した開通式の様子(出所:福島県)
3月18日に開催した開通式の様子(出所:福島県)
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 八木沢トンネルは、東日本大震災からの復興を担う「ふくしま復興再生道路」と県が位置付ける県道原町川俣線の一部。南相馬市と飯舘村にまたがる八木沢峠を越える旧道の急カーブや急勾配を解消するために建設した。

八木沢トンネルの位置図
八木沢トンネルの位置図
(出所:福島県)
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