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地元負担大きい専用軌道の建設、佐賀県は強く反対

 ただし、フル規格の軌道を新設するには多額の費用を要する。FGTを導入すれば駅施設の改築などで800億円程度に収まると試算していた整備費は、6000億円に跳ね上がる。整備新幹線の建設費用は、JRが鉄道・運輸機構を通じて支払う貸し付け料を除き、3分の2を国が支払い、残りを沿線自治体が負担する仕組みになっている。新たに1000億円以上の追加負担がのしかかる佐賀県は、一貫してフル規格の採用に反対の立場だ。

国土交通省が比較した3つの案。FGTの導入に伴う整備費用は800億円。そのうち700億円は駅施設の改築などでフル規格軌道の整備費と共通する。フル規格の場合、開業見込みは2034年(資料:国土交通省)
国土交通省が比較した3つの案。FGTの導入に伴う整備費用は800億円。そのうち700億円は駅施設の改築などでフル規格軌道の整備費と共通する。フル規格の場合、開業見込みは2034年(資料:国土交通省)
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 一方、長崎県は博多駅や新大阪駅までの所要時間短縮の観点から、全体をフル規格で整備するよう求めている。フル規格ならば、新大阪―長崎間の所要時間は約3時間15分。FGTを採用して博多駅で乗り継ぐより38分短縮できると見込む。

 在来線の取り扱いも課題だ。新幹線専用軌道を在来線に並行して造る場合、乗客を取り合う2つの路線を運営するJRの負担が重くなることから、在来線の運営を分離することが原則となっている。例えば青森県では、東北新幹線の開業に伴い、沿線自治体が出資して第3セクターの「青い森鉄道」を設立。JR東日本から在来線の運営を引き継いだ。線路や駅舎などは青森県が買い取り、維持管理を担っている。

 地方の在来線の多くは利用者が少なく、運営を引き継いでから赤字が続き、自治体の重荷になるケースがある。負担を軽減するため、長崎ルートに並走する肥前山口―諫早間では、沿線自治体が駅施設などを譲り受けて維持管理するが、運営についてはJR九州が新幹線開業から23年間、引き続き担当することを取り決めた。仮に新鳥栖―武雄温泉間で新たに新幹線の軌道を建設することになっても、同様の方式となるかは分からない。