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 京都府向日(むこう)市の雨水貯留槽が漏水事故を起こしたことを受け、市が貯留槽を設置した建設会社など6社に約1億4900万円の損害賠償を求めた裁判で、京都地裁は遮水工事に携わった下請け2社に約8200万円支払うよう命じる判決を言い渡した。転圧不足による貯留槽の動きが原因とする市の主張は認めず、元請け会社などの責任は問わなかった。

漏水事故が発生した雨水貯留槽の断面(資料:向日市)
漏水事故が発生した雨水貯留槽の断面(資料:向日市)
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 判決は3月23日付。市はこれを不服として、4月4日に大阪高裁に控訴した。

 漏水したのは向日市寺戸町の北野台公園に埋設した容量727m3のプラスチック製貯留槽。周辺を宅地開発した洛西建設が設置し、完成後の2006年3月に所有権を市に移管した。

 09年7月の集中豪雨の直後、公園の擁壁から水が流れ出した。市が調査したところ、貯留槽と点検升を接続する箇所で遮水シートの接着不良があり、漏水した可能性が高いことが分かった。

 市は応急措置を講じた後、鉄筋コンクリート製の貯留槽に造り直し、調査費用や改修費用を洛西建設に請求。同社が応じなかったことから11年7月、京都地裁に提訴した。

 向日市が賠償を求めたのは、宅地開発の事業主体である洛西建設のほか、同社から雨水貯留槽の設置工事を受注した元請けの大高、その1~3次下請けのエバタ、東ソー・ニッケミ、みすゞ産業、上野建設の計6社。