6人の死者・行方不明者を出した大分県中津市耶馬渓町の土砂崩落で、国土交通省は4月19日、現地の調査報告を公表した。報告書では崩落の要因は特定していないものの、現地調査に参加した専門家の1人は、2016年の熊本地震や17年の九州北部豪雨が影響した可能性を指摘している。
土木研究所の研究員や九州大学の教員らが、崩落当日の4月11日から12日にかけて現地を調査した。
崩壊の規模は斜面高が106m、幅200m、水平長240mで、崩壊斜面の勾配は平均約40度。上方の滑落崖の高さは30m、勾配は60~70度だ。滑り面の位置はまだ不明だが、崩壊の深さは最大で30m程度に及ぶとも考えられる。国交省は深層崩壊の可能性もあるとみている。
豪雨や地震が直接のきっかけではない今回の斜面崩壊は、風化による岩盤の強度低下が影響して起こったとの見方が有力だ。現場の斜面の岩盤は上部が溶結凝灰岩、下部が安山岩の2層構造で、上層は広い範囲で風化が進み、節理が広がっていた。