「ロードバイク」と呼ばれるタイヤ幅の狭い自転車に乗っていた50代の男性が、側溝のスリットにタイヤがはまって転倒してけがをしたのは、道路の安全性に問題があったからだとして、道路を管理する岡山市に治療費や慰謝料など計約57万円の損害賠償を求めた訴訟で、岡山地裁は4月24日、管理の瑕疵(かし)などを認め、市に約38万円の支払いを命じる判決を言い渡した。市は5月2日、判決を不服として広島高裁に控訴した。
男性は2016年6月9日午後8時半ごろ、岡山市の市道いずみ町・青江線をロードバイクで走行中に転倒し、左小指と肋骨を折るけがをした。
男性はこの市道を通勤時などに車で利用しており、当日もいったん車で帰宅した後、会社に戻る用が生じたので、タイヤ幅2.3cmのロードバイクに乗って会社に向かった。
男性が転倒したのは、岡山市北区大供本町の交差点の手前。片側2車線の車道の路肩(幅50cm)に設けたコンクリート製の側溝を走行しているときだった。
側溝は、地元のコンクリート2次製品メーカーの既製品で、排水能力を高める目的で幅2cmのスリットを天端中央部に連続して設けている。
この側溝について岡山地裁は、「(スリットが)コンクリート上の黒い直線と見え、それが隙間(溝)であると認識できない恐れのある形状」と指摘。隙間に向けて2%の勾配があるために、意識して直進走行しないと、徐々に隙間に近づいてしまう可能性があることも問題視した。
さらに、「ロードバイクが車道を走行することは既に珍しい光景ではなく、2cmという(スリットの)幅はタイヤのはまり込みを抑制するには広すぎる」としたうえで、路肩部分は安全性を欠いており、設置・管理の瑕疵に当たると結論付けた。
一方で、「注意深く観察していれば、隙間を認識することが可能であった」と述べ、男性の過失も認めた。