堺市発注の上下水道工事で契約と異なる材料が埋め戻しに使われていた問題で、前田道路が不正のあった全ての工事で偽装に関与していたことが分かった。同社は資材メーカーとして、販売していない材料に対する架空の納品伝票を施工者に発行していた。
堺市は、隣接する大阪市の水道工事で材料偽装が多数発覚したことを受け、18年2月に市内の上下水道の管敷設工事を対象に、同様の問題の有無について調査に着手した。
堺市では上下水道工事の施工者に対し、08年度から建設発生土に生石灰などを添加した「改良土」を埋め戻しに用いることを義務付けている。この改良土で偽装が発覚した。
“偽装率”は2割
堺市は中村秀人・大阪技術振興協会理事を座長とする有識者の検証委員会を設置し、5月7日に第1回会合を開いた。市が会合で公表した資料によると、17年度に完了した上水道工事60件、下水道工事11件の計71件のうち約2割に当たる15件で、使用したとされる改良土の納品伝票が偽造されていた。
メーカー2社から改良土を購入したとする工事が1件あるので、虚偽の改良土の売買契約は計16件。そのうち15件の「販売者」が前田道路だった。「購入者」となっている施工者は14社で、いずれも地元の建設会社だ。
堺市の上下水道工事では通常、市が特記仕様書で指定した改良土メーカー4社のいずれかに施工者が処分費を支払って建設発生土を受け入れてもらい、そのメーカーから改良土を購入して埋め戻しに使う。市が指定する4社のうちの1社が前田道路だった。